◆山上正代
谷本亮二の親友の兼重周造の妹で谷本の恋人であったが、終戦によりお互いに別の人生を歩むことになる。主人を亡くした山上は、第五生命の保険外務員となり、維新銀行の谷本を訪ねて保険勧誘の協力を懇願。谷本の支援や谷本が育てた組合幹部出身者達の協力により、山上は第五生命のトップクラスの地位を占めるようになる。谷本が首都圏本部長に左遷されると、谷本復活のための活動資金を提供。谷本が頭取の座を射止めることが出来たのは、山上の資金援助によるものであった。力をつけた山上によって維新銀行の人事は歪められていくことになる。
◆下田 隆
山上の保険勧誘の協力や人事情報の提供などの功績が認められ、山上の推薦により人事部長から常勤監査役に抜擢される。大沢常勤監査役の感化を受けて谷野頭取を支持する立場をとっていたが、6月の株主総会で大沢監査役が退任すると密かに守旧派と通じ、敗れた改革派の会合の情報を提供。
監査役退任後はその功績が認められ、子会社の維新保険サービスの社長に就任する。「谷野頭取交代劇」には直接登場しないが、下田のスパイ行為によって改革派全員が取締役退任に追い込まれることになる。
◆黒部 亘
下田隆の常勤監査役への転出を受けて人事部長に就任。下田同様、山上の保険勧誘の協力や人事情報を提供し谷本の信認を得る。その後谷野頭取直属の監査部長となるが、黒部が谷本や山上と通じているとは知らない谷野は大沢の後任に黒部を常勤監査役に指名。黒部と下田が常勤監査役となり、監査役会も守旧派の手に落ちることになった。
◆木村賢一郎
維新銀行社外監査役。維新銀行の大株主である明和友田生命の社長。「谷野頭取交代劇」には直接登場しないが、ライバルの第五生命の山上が維新銀行を舞台に違法な保険勧誘していることを指摘することはなく、「谷野頭取交代劇」が繰り広げられた取締会議は欠席。社外監査役としての意見を述べることもなかった。明和生命は維新銀行の前身である第百六十銀行からの大株主であった。経営陣に対して毅然とした態度をとっておれば、前代未聞の「頭取交代劇」は防げていたかも知れなかった。社外監査役の限界を露呈する結果となった。
「頭取交代劇」が起きる5カ月前の2004年1月1日付で、明和生命は友田生命と合併し明和友田生命となり、木村賢一郎が初代社長に就任するが、その翌年保険金不払いが発覚し、社長退任と共に7月中旬に就任予定だった生命保険協会の次期会長就任も辞退することになる。
あらすじ、主な登場人物までご確認いただけましたでしょうか。それでは、次回より本文の掲載を始めます。どうぞ、よろしくお願い致します。
≪ (主な登場人物・2) | (第1章 谷野頭取交代劇への序曲(1)) ≫
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