福岡市で8月29日に"仮想行政区"として誕生したカワイイ区。同区は、人気アイドルグループのAKB48メンバーで福岡県出身の篠田麻里子さんが区長を務めており、設立から1カ月で区民登録者が3万人を超えている。その「特別住民票」の発行が9月29日から始まった。「福岡市8番目の区」と言われる同区が今後どのように進んでいくのか――。とりあえず区民になってみた。
<000038926>
10月1日、「特別住民票」を発行している福岡市役所1階の情報プラザを訪れた。発行開始となった9月29日は行列ができ、兵庫県や千葉県といった遠方の"区民"(登録者)の存在も報じられていたが、平日ということもあってか窓口に行列はなかった。
区民登録は情報プラザの窓口ではできないため、先にインターネットで登録しておく必要がある。登録は無料。記者の携帯端末ではなぜか、登録ができなかったため、同じく1階にあるカフェに設置された端末を利用する。登録に必要なのは、名前(ニックネーム可)とメールアドレスだけなので、たいして手間がかからない。
登録後、窓口で「特別住民票」の発行申請を行なう。こちらは所定の用紙に登録した名前と区民番号、12桁の受付番号を記入する。記者の区民番号は「000038926」。番号は、登録順に発行されており、記者は3万8,926人目の区民であることになる。住民票発行まで5分ほど、発行手数料300円を納付し、カワイイ区の特別住民票が手渡された。住所は「福岡市カワイイ区カワイイ2丁目4番19号」。これでカワイイ区民であることを"物的証拠"によって示すことができる。
<特別住民票は出足好調?>
区の設立から約1カ月で4万人近くの区民がいる我が区(カワイイ区)だが、「特別住民票」の発行では、区民登録に比べて出足好調とは言えないようだ。市の担当課によると、窓口に足を運んだ人数は9月29日が193、翌30日が81の合計274人。区民数の1%以下となっている。1人で複数枚発行した区民もいたとか。
窓口近くには、篠田区長の等身大パネルが置かれており、フロアのなかで異彩を放っていた。区民登録時に端末を使わせてもらったカフェには、カワイイ区の限定コラボ商品のサブレが売られていた。製造元は、障がい者の就労支援を行なう社会福祉法人だ。今後もさまざまなところでコラボ企画が行なわれていくのだろうか。
しかしながら、「特別住民票」を手に入れたものの、区民としてどうすべきか、どうあるべきかは皆目見当がつかない。篠田区長は「これまで福岡は、博多祇園山笠、とんこつラーメン、九州男児など勇壮で質実剛健な男性的イメージが先行してきましたが、福岡の本当の姿は「カワイイ」。カワイイ女性が多い、女性が輝いている都市です」と、就任のあいさつで語っているが、篠田区長のイメージが先行し、男性区民が圧倒的に多いのではないかという憶測もある。はたして、我が区はこれからどうなるのか、区民の1人として気にしてみた。
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