「これからは、おせっかいであらねばならないと思うのです」
9月7日の夜、(社)東北ニュービジネス協議会のビジネスマッチング部に所属するという千葉儀憲氏は、そう語った。特に若者の就労支援については、若者と企業をつなぐための「おせっかい」が大切だと考えている。
千葉氏が所属する東北ニュービジネス協議会は、東北地方のニュービジネス関係者同志がお互いに交流を深め、啓発しあい、連携を図る会だ。同時に、新しい産業に関する諸問題について、調査、研究などを行ない、当地でニュービジネスを広めるための様々な事業を行なっている。会員は、産官学各方面でリーダーシップをとる識者や経営者で、11の部会によって活動しており、千葉氏が所属するビジネスマッチング部もそのなかのひとつである。
同会では、2006年より年に1回「ビジネスマッチ東北」というイベントを主催している。いわゆる東北地方全域を巻き込んでのビジネスマッチングの場だ。千葉氏はその中心人物として、地元の企業同士はもちろん、中央の大手企業との仲介も行なってきた。昨年は東日本大震災の影響で中止せざるを得なかったが、それでも負けず、時期をずらして12年の春に開催。待ちかねたかのように出展、来場者が集まり、震災被害から立ち上がろうとする東北の力強さを示し、地域に活力を与えることができたそうだ。
千葉氏に若者の就労支援について問い掛けた。やはり被災地を始めとする東北地域に、若者の雇用の場を創ることの難しさと必要性を実感しているという。東北地域でなくても、若者は大企業や公務員など、知名度や安定感のある就労先を目指す傾向にある。各地でも、若者にもっと視野を広げてもらおうと、プランニングの場を与えるなど創造面を啓発する試みも行なっているが、まだ模索中の段階だ。同時に、千葉氏は企業側の考え方を変えることも、雇用を促すためには必要だと考えている。
「今までのやり方にこだわるのではなく、若者が興味を持つような仕事の仕組みを考えることによって、状況は少しずつ変わってくると思うのです。例えばある特許事務所は、IT面の充実を図ることで、興味を持つ若者の求職が増え、5人の職員が30人になったそうですよ」
「いっそ大人側の考えを大胆に変えてみてもいいと思うのです。ゲーム感覚に慣れた若者には、紙媒体に記された数値より、モニターに映る画像で処理する方が効率的に物事を進めることができるかもしれない」
だから、若者に対しても、困っている企業に対しても、もっとおせっかいになったほうがいいと思うのだそうだ。自分の価値観を通して見る世界に踏みとどまり、殻を破ろうとしない若者や、壁を壊そうとしない企業に対し、もっと風通しのよい世界に出て互いに歩み寄れる案を示していきたいと。
確かに、一度築かれてしまった殻や壁は、おせっかいだと思われるぐらいに踏み込んでいかないと、なかなか取り除けない。
停滞してしまったものを動かしたいのであれば、立ちすくんでいる相手を、ただ見つめているだけではだめなのだ。
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