ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

特別取材

鹿児島のまるいストアが破産 ~中小零細スーパーの厳しい現実(中)
特別取材
2012年10月 4日 13:28

<鹿児島で今、何が起きているのか?>
1004.jpg 鹿児島は長らく県外資本が入りにくい時代であった。業界内ではタイヨーの一人勝ちが続いていたが、2000年を契機にじわじわと県外資本の進出が活発化する。タイヨーは、2006年2月期に売上高1,328億円計上していたが、翌期から減収傾向となり、10年2月期には1,268億円まで落ち込んだ。その後、業態のテコ入れなどが功を奏し、翌期から増収基調に回復、12年2月期に売上高が1,300億円台に回復したものの、鹿児島県内は今、大手を含めた小売業界の雄たちとの群雄割拠の時代に突入している。

 現在、九州の小売業界を牽引するのはディスカウントストア、ドラッグストアなどの新興勢力であることは言うまでもないが、まず、2000年2月に(株)コスモス薬品(本社:福岡市)が鹿児島南部の志布志市に1号店を開業。その後、ディスカウントストアのダイレックス(本社:佐賀市)、ドラッグストアモリのナチュラル(本社:福岡県朝倉市)が続いた(表参照)。

1004_hyo_s.jpg

 劇的に変わったのは、イオン九州が2007年10月に鹿児島市内にイオンモール鹿児島を出店した後だろう。イオンモール鹿児島は地上5階建て、延床面積12万1,676m2を誇る巨大ショッピングセンター。鹿児島店開業当時のイオン九州の2008年2月期の決算資料によると、同期の鹿児島地区の売上高はサティの2店舗を含めて3店で63億9,500万円だった。これが2011年2月期には132億円と売上が倍増しており、イオンモール鹿児島が単体で60億円以上売り上げていることが推測される。これが地場中小零細スーパーには痛手となっているのは間違いない。

 また、11年3月にはコンビニ大手のセブンイレブンが鹿児島の地で初出店を果たした。同社は14年2月末までの3年間で200店舗体制を目指すことを発表し、現在、県内には83店舗出店している。セブンイレブンの1店舗の1日当たりの売上高は全国平均で約67万円。月間で約2,000万円、年間で約2億4,000万円となり、現状、83店舗が年間稼働すれば200億円近いシェアを取ることが想定される。仮に200店舗の出店が実現すれば約500億円の市場がここ数年間のうちに形成されることになり、中小零細の地場スーパーにとってはたまったものではない。

 さらに今年3月には生鮮ディスカウントストアとして知名度の高い鮮ど市場(本社:熊本市)が鹿児島県霧島市に1号店をオープンし、ほぼ同時期にディスカウントストア最大手のドン・キホーテが鹿児島市内に1号店をオープンさせた。
 だが、鹿児島県は2001年10月時点の総人口が178万2,960人、現在は169万122人とここ10年間で9万人以上減少している自治体である。自由競争のなかでたゆまぬ企業努力を行なった結果、低価格帯の小売業が台頭することは決して悪いことではない。しかし、人口が減少し、デフレ景気を背景に行なわれる小売業間の過当競争が地場中小零細スーパーを苦境に追いやっていることは言うまでもないだろう。

(つづく)
【特別取材班】

≪ (前) | (後) ≫

<日刊マックス流通のご案内>
 日刊マックス流通は沖縄を除く九州地区の食品スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアなどの小売業の情報を、土日祝日を除く毎日タイムリーに配信しています。現在、1カ月間に限り、無料で配信させていただきます。無料試読希望者は、下記のメールフォームでお申し込み下さい。

※「日刊マックス流通メルマガ」試読申し込みフォームはコチラ >>


※記事へのご意見はこちら

特別取材一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル