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目指すは新たな産業の創出(前)~自由民主党 前衆議院議員 三原朝彦氏
発信!北九州
2012年10月 9日 11:03

 中央と地方、国と自治体の政治がせめぎ会う昨今、北九州の再興もこの流れと無関係ではいられない。そのようななか、衆議院福岡9区(北九州市若松区・戸畑区・八幡東区・八幡西区)は、現職で民主党の緒方林太郎氏と、自民党で前職の三原朝彦氏を中心に混戦が予想される。復活を期する前職・三原朝彦氏に、北九州の再興について聞いた。

<訴え続けた地方分権の必要性>
 ――政治が慌しさを見せています。自民党が政権を失って3年が経ちますが、これまでの経過を振り返って、どのようにお感じですか。

mihara_01.jpg 三原 戦後の日本が目指したのは、端的には「西欧社会」だったのではないでしょうか。冷蔵庫を開ければたくさんの食べ物があり、冷暖房が効いた居間ではテレビが流れる。そんな豊かな西欧型社会のイメージに皆が憧れていましたし、今では隣国からそれを目指して日本に来られる方も多くいます。

 ですが、物質的な豊かさを求める流れは、1980年代で成就してしまいました。加えて、90年代にはベルリンの壁が崩壊して冷戦が終わり、世界中が自由主義に移行します。その後、少子高齢化社会を迎えて国内市場の縮小に向き合うことになるのですが、たとえば人口増減のムラが、中央と地方の齟齬や地方相互の格差を浮き上がらせたため、地方は自主的な考えでの下で「どうすれば幸せになれるか」を考えざるを得なくなりました。

 つまり、中央から指示する時代は終わり、地方分権こそが求められるようになってきたのです。これらに対する我が党の認識不足が、下野の根本的な原因であったと考えています。

 ――大阪の橋下氏、名古屋の河村氏に見られるように、地方のうねりは国政に大きな影響をおよぼしつつあります。

 三原 地方分権には賛成ですし、私たちが一度は自民党を出て新しい行動を起こした(新党さきがけ)根っこも、そこにありました。たとえば、福井や富山では3世代がともに暮らし、祖父や祖母が子どもの教育を担う家が多くあり、逆に、こういった世帯は東京ではほとんど見られません。都市や生活には、各地に応じた適正なかたちがあります。各々を満足させる細やかなサービスは、地方の裁量の下でしか実現できません。加えて、政治が自分たちのものだと認識するためにも、地方分権は大きな意味を持ちます。

 民主主義は、自ら出した金(税)を自ら裁量するのが基本です。自らの幸せを決めるために、地域自ら政策決定を行なって金の使い道を決めるべきですし、そうすれば1,000兆円の(国の)借金が、自分たちのこととして考えられるようになります。

 ――地方分権には、地域間格差の拡大を懸念する声があります。

 三原 中央と比較して地方のレベルが低いという意味であれば、必ずしもその批判はあたりません。文科省が実施する学力テストでは地方のレベルが高いという結果が出ていますし、幕末維新を支えた人材の多くも地方出身です。経済やまちの賑わいといった面で差異があることはたしかですが、むしろそこには別の価値を見出さなければなりません。ひなびた温泉地が「隠れ家」という付加価値で人気を博したように、東京と同じものを地方で追いかける必要はないのです。

<ベーシックインカム、検討の余地はある>
 ――現在の民主党政権を、どのように見ていますか。

 三原 残念なのは、言ったこととやっていることに差があることです。誤解を恐れず言えば、16.8兆円の無駄金を削減すると公約したのであれば、自民党が組んだこれまでの予算から切ればよかったのです。切られた方は当然怒りますが、そうでもしなければ存在意義を明らかにすることはできません。道路予算の削減、ガソリン暫定税率の廃止、こども手当ての創設のいずれもが中途半端で終わってしまいました。消費税を上げないと言ったにもかかわらず、約束を反故にしてしまった点も、支持者の怒りを買ったのではないでしょうか。

(つづく)
【文・構成:田口 芳州】

| (後) ≫

<プロフィール>
mihara.jpg三原 朝彦(みはら・あさひこ)
1947年5月、福岡県生まれ。福岡県立東筑高校を経て一橋大学・カナダカールトン大学大学院修士課程修了。父・三原朝雄氏の秘書をつとめながら86年の衆院選初当選。以降、通算5期衆議院議員を務めるも、09年の衆院選で落選。国際問題に造詣が深く、党国際局長などの経歴を持つ。



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