<全国地方から変革の波が押しかけている>
東京大卒・総務省官僚出身とくれば、誰でもが【エリート人樋渡啓祐】と評価する。しかし、本人は【挫折者】と公言する。「【挫折者】だからこそ地方自治体から変革できるのだ」と説く。こちらも【挫折者】とは見ないが、役人としては【変わり者】という烙印は押す。
【変わり者】であるが総務省という国家組織に所属したからこそ、樋渡氏は≪地方自治体の根本的変革の主体者≫になり得ているのだ。当人曰く「20年も官僚していたら『役人ムラ』に染まってしまっていたから使いものにはならなかっただろう」。
佐賀県は保守拠点地域である。その佐賀県のなかでも辺境の地区に当たる武雄市(筆者が【辺境】と呼んでいるのではない、樋渡市長本人が喝破しているのだ)から最新の自治体変革が進行しているのだ。「私個人がどんなに奮発しても市民の支援がなければ動きが取れない。武雄であれ全国の田舎の住民たちは日本の将来に不安感を抱いている。歴史的に眺めても革命は【辺境】から始まる。≪根元的な変革が必要≫という市民の強い希求心があるからこそ不肖・私も生かされているのだ。武雄市民も見守ってくれている」と樋渡市長は分析する。
同氏が指摘される通りにあの保守の牙城・薩摩の辺境の地≪阿久根市≫に奇跡が生じた。あの異才の竹原市長が登場したことである。竹原市政の支援者の主力は60歳以上の女性たちだった。彼女たちは直感的に「このままでは地方の生活基盤は壊されてしまう」という危機感に駆られているのだ。日本津々浦々、【辺境の地】では過去の≪保守・革新≫という領域を超えて市民・住民達は無意識的に(根元的変革)を求めているのである。
<具体的な≪生活革命≫が求められる>
樋渡市長は「現代の革命とはイデオロギー闘争ではない。具体的な変革実行力だ。市民達は≪不安のない幸せな生活≫の実現を求めているのだ。市民たちが未来に確信を抱ける生活・地域環境を具現化するパワーが現代の革命だ」と断じる。例えば武雄市を含めて地方都市は人口の減少が続いている。移転が不可能な老人たちは「あと5年、10年経過したら我々の地域は消滅してしまう」と嘆く。であれば行政の首長として武雄市の人口を増やす。特に若年層の転入者を増やせば老人たちも安心する。「首長の経営能力如何では世間の一般的流れ(人口減)を食い止め漸増できる」と強調する。
これこそが現代の自治体革命の第一歩である。樋渡市長は「首長には『世のなかの流れがこうだからできません』という言い訳は使えない」という信念を抱いている。
この信念・行動規範は中小企業の経営者と共通しているのだ。経営者が「現在のデフレ状態では利益をだすことは至極、困難だ」とぼやいていたら一瞬にして会社を倒産させてしまう。デフレ経済であろうとも経営者は会社存続の為に英知を駆使する。さらに体を粉にして事態打開に奔走する行動を展開するのだ。樋渡市長が掲げる行動スローガンは【経営する行政】である。この新鮮味溢れる≪樋渡武雄市行政≫視察に、連日、全国から視察に関係者が大挙、押しかけてくる。取材に行った9日にも岡山県自民党県議団が押しかけていた。
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