＜就職支援現場から見た若者の可能性＞
９月20日、１通のメールが届いた。
「アルバイトからの雇用ですが内定を頂きました。正社員への登用は期間を定めず仕事が出来る人と認められたら正社員登用で・・（中略）。アルバイトを頑張って正社員の道を目指したいと考えております。小路先生もお体に気を付けて頑張ってください！いままで本当にありがとうございました」
大学新卒で未就職だった１人からの朗報だった。今年はアルバイト雇用からの就業が特徴的だ。私は、この前向きなチャレンジャーに対して、「ゆとり世代の若者」とはもう呼べない。６カ月前、４月に新年度の就職支援が始まった頃は担当するクラスの多くに所謂「ゆとり」を感じた。しかし、今は違う。その多くが急成長し新時代の「人財たまご」としてデビューを果たした。
大卒就職率が今春、前年同期比2.6ポイント増93.6％に改善した。（2012年5月15日文科・厚労省調査）しかし、就職率とは、就職希望者のうち就職した人の割合なのだ。今春の大卒者は推計55万人で就職希望者は、68.9％の38万1,000人。就職できたのは35万6,000人。近年、異常に高まっている大学院進学率12.8％を考慮すると大学新卒者の就職率は実質77.5％となる。この厳しい就職戦線を勝ち抜いた若者たちに私は大きな可能性を感じている。
では、一般的な職場ではどうだろうか？この１年間で起きた事件簿から例を挙げてみよう。
職場体験や試用期間に入り３日以内に辞退した者、就職後３カ月以内に退職した者、遅刻・欠勤・居眠りなどの初歩的な事柄で注意を受けて採用を見送られた者が多数存在する。また、就業できたが事務職で作業効率が悪くいまだに戦力になれていない、営業職で個人売り上げを伸ばせない、といった声が寄せられている。よく聞く話だと思う。しかし、一方で新入社員がよく育ち業績を順調に伸ばしている企業が存在する。たとえば「スターバックス」「マクドナルド」「ディズニー」。マクドナルドでは、チームのパフォーマンスを最大化するため世界に７校設けた「ハンバーガー大学」などを通じて「人」の成長の可能性を最大限にサポートする体制を整えている。
企業の持続的成長は、「人」の成長可能性をサポートする教育体制に大きく左右されるのではないだろうか。前述した試用期間での辞退、早期離職、個人成績不振の多くは会社の教育体制に問題があったのかもしれない。「イマドキの若者」は強制的な指導や押しつけでは動かない。従来の教え方では育たない。アルバイトで頑張っている若者は何にモチベートされたのか。「スターバックス」のスタッフはなぜ機敏な動きと接客ができるのか。「ディズニー」のスタッフがお客様に感動を与え続けることが出来るそのワケは？ 優れた教育体制のヒントはその現場に見える。上司の動きとスタッフへの接し方を見て学んでほしい。答えはそこにある。
｜ （２） ≫
＜プロフィール＞
小路 智広 （こみち ともひろ）
炎の教育探求家（学習塾講師時代に同僚が命名した）自身が大学生のとき、腎臓病の完全克服を期して自転車による九州一周の旅を敢行するなど、一徹な面と寛容な面を併せ持つ。これまで学習塾における学生教育・受験指導・教室経営、大学生をはじめとした若者の就職支援及び中高年層の転職支援、そして、企業における社員教育研修を行なってきた。
講義・講演数36,000回。指導者数はのべ35万人以上と九州でＮＯ．１，日本でも有数の実績を誇る。大学教員として５年間「キャリア開発学演習」の教鞭をとっていた2007年には、「これからの働き方」をテーマに日本全国４７都道府県を51日間で一周し取材を行った。８年間教鞭をとっている九州大学自己表現能力育成プログラムでは「愛と人生」をベースにした講義で人気が高く、これまで1,000名以上が受講している。
▼関連リンク
・【11/8、ＩＢ会員無料】イマドキの若者を『人財』に変える新時代の人材育成法を伝授！～講師は炎の教育探求家・小路智広氏
※記事へのご意見はこちら
