日本政府の尖閣諸島国有化問題は、日中両国間に緊張局面を引き起こし、日本経済は打撃を受けつつある。日中関係が2005年小泉首相の靖国神社参拝時の「政冷経冷」より深刻な「政凍経逃」の時代に突入する事が懸念されている。
中国経済新聞は9月28日、姉妹メディアの「日本新聞網」を通じて、「中国の尖閣諸島問題に因る、対日経済制裁実行に反対。このようなやり方は、日本人の国民感情を害するだけでなく、両国の経済にとっても『共倒れ』的立場に陥れることになる。中国が日本に反撃しても、経済を縛り付ける事はできない」という趣旨の中国語記事を発表した。この一文が、中国社会で、かなり大きな反響を巻き起こし、中国50数個のネットメディアに転載され、当然の事ながら、中国のネットユーザーの激烈な批判を浴びた。
この記事を、ここに再録発表し、日中両国政府の尖閣諸島処理問題に対する、わが中国経済新聞の提議と要望とする。
中国は日本の最大の貿易パートナーであると同時に、日本も中国にとって最大の個別貿易相手国であり、日本にとって、中国は最大の海外投資国である。最大の商売相手同士が喧嘩をすれば、結果として共倒れになるのは必定である。中国政府は日本に対して経済制裁を実行し、又、経済制裁を通じて日本政府を「降伏」させる必要があるのだろうか。この一点については、利害得失を充分に検討の上、冷静に熟慮しなければならない。
中国国内には、日本は中国市場に対する依存度が40%に達しているが、中国は日本市場に対する依存度が20%に満たない。だから、中国は日本が参ったと言うまで攻撃圧倒すべきという観点がある。我々は中国並びに日本政府の統計データに注目してみよう。2011年、中国の対日貿易額は中国の国際貿易に占める比率は、すでに2002年の16%から、2011年の9%にまで落ち込んでいる。反対に、日本の対中貿易額は日本の国際貿易に占める比率は、20.6%に上昇している。上のデータから、中日の双方市場に対する依存度比率には、確かに「2倍差」の有る事が見て取れる。しかし、この事が中国は日本経済を攻撃抑圧できるという根拠にはなり得ない。
我々は、日中経済の別の側面を見なければならない。即ち、中国の日本市場に対する「隠れた依存度」である。日本の対中輸出商品の主たる物は半導体と各種電子製品及びハイテク製品の精密機械である。換言すれば、中国の所謂「世界の工場」を支える基礎的素材の相当部分が日本から来ているのだ。日本製品輸入阻止は、つまるところ、我々自身の輸出貿易額減少を意味し、本来すでに下り坂の中国輸出にとって「泣き面に蜂」となる。
中国市場における「日本製品」は、事実上ほとんどが中日合弁製品である。たとえば自動車、本紙は中国社科院の経済学者に依頼し、トヨタ車一台打ち壊しで、中国の損害がいくら?日本の損害がいくらか?を試算してもらったところ、彼は「中国の損害60%、日本の損害40%」だと答えた。広州の「広州汽車集団」という名のたいへん尊大な国営企業は、その主たる利潤は二つの合弁企業から入っている。一つは「広汽豊田」と、もう一つは「広汽本田」である。トヨタ車とホンダ車を打ち壊してしまえば、「広州汽車集団」も存在しないのだ。従って、日本に対して経済制裁をするという事は、同時に中国自身への経済攻撃を意味するということを認識せねばならない。
我々は、もし、どうしても対日経済制裁を実行することになるならば、「政凍経逃」の時代に突入してしまう事を危惧する。尖閣諸島の主権問題では、中国は日本政府に対する外交と政治面での圧力を保持すべきだが、経済を縛るべきではない。広大な中国経済に期待を掛けている日本企業と日本の一般大衆の利益を毀傷すれば、日本大衆の中国に対する反感を激化させ、日本の右翼保守勢力に更なる民意支持を取り付けさせ、更に、両国に多くの対立を造成させ、「戦略的互恵関係」を「戦略的互損関係」へと変えてしまう。冷静なる対応が必須である。
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