20日夕、日本維新の会代表の橋下徹大阪市長は、福岡市の博多駅前で街頭演説を行なった。2,000人を超える聴衆を前に、橋下氏はどのような訴えをしたか。その内容を公開していく。

　ありがとうございます。いやあー、福岡のみなさん、こんなにお集まりいただけるなんてほんとに思っていませんでしたよ。きょうから日本維新の会、全国遊説を始めました。最初にね、鹿児島からスタートして、熊本に行って今、福岡なんですが、ちょっと飛ばしすぎちゃいまして、喉がやられましてね。ちょっとお聞き苦しいかもわかりませんが、しばらくお付き合いください。

　福岡のみなさん、３年前に政権交代をはたしました。自民党から民主党に政権が変わった。これは、福岡のみなさんや全国のみなさんの投票によって行なわれたことなんです。まあ、このなかにいらっしゃる方、民主党に入れていない人もたくさんいらっしゃるかもわかりませんが、全国民のみなさんは、自民党から民主党への政権交代を、支持をした。それがわずか３年前。その時の日本の状況を思い起こしてください。

　まあ、政権が変わる、自民党の政権が変わる、これから日本が変わるんだ。みんな、そのような高揚感を抱いて、ワクワクして新しい日本を夢見たのは、わずか３年前なんです。みなさん、今の日本の状況、政治の状況に満足していますか？（聴衆「しているわけない！」）たしかにね、政治っちゅうのは難しい。何から何までみなさんに100％の満足をお与えすることができないのが政治なんですが、しかしね、日本国民のみなさんは、福岡のみなさんは、みんなわかってらっしゃる。今の日本、金がない。予算の半分が赤字の借金、こんな状況でみなさんに、あれやるこれやるなんていうことを言えないなんていうことは全国民みんなわかっていることなんです。

　ところが、３年前の政権交代選挙の時には、民主党は「子ども手当を与えますよ」「高速道路は無料にしますよ」、あれやるこれやる、あれやるこれやるのオンパレード。「お金は何とでもなりますよ」そのように言って、政権交代を果たしました。みなさん、政権交代で一番重要なことは、人が変わることでもない。政治家が変わることではない。ましてや、みなさんにいいことばっかり言うことではないんです。

　今政治が一番やらなければならないことは、みなさんに、今の我が日本国の大変厳しい状況を、素直にみなさんにご説明申し上げ、みなさんに我慢をしていただくところは我慢をしていただく。将来の我が日本を立て直すために、この部分は申し訳ないけれども、みなさん、我慢をしてください。その代わり、みなさんに我慢を求めるためには、我々もこれだけの身を削りますという姿勢を示す。それがね、今もうどうしようもなくなったこの日本における政治の役割なんです。いいことばかり言ってね。そんなの実現できるわけない。金がないんです、我が日本国には。

　少子高齢化時代を迎え、これからどんどん社会保障費は伸びていきますよ。どうしますか、この日本。我が日本維新の会は、福岡県民のみなさんにはじめてお話をさせてもらいながら、宣言をいたします。高齢者の方に、適正なる負担を求めます。それぞれの各種団体、選挙の票になるような各団体に与えている補助金、引き上げていきます。そのようにして生み出したお金によって、現役世代、これからの我が日本を支えてくれる若い世代、20代、30代、そして坊ちゃん、お嬢ちゃん、お孫ちゃん、その世代にしっかり税を回す。決して、高齢者切り捨てではありません。

　今の日本国の社会保障は、世界のなかでも、かなり手厚い保障なんです。大阪市なんてね、みなさん、すごいですよ。僕が市長になる前まで、地下鉄もバスも高齢者は全部タダ。乗り放題。こんな政策、バカみたいな政策をずっとやり続けてきたんです、大阪市は。今回、全部改めましたけどね。なんでそんなことになったか。日本全国、なんでそのように高齢者のところにばかり税金が注ぎ込まれるようになったか。選挙ですよ。票になるからですよ。

　若者は投票に行かない。しかし、高齢者のみなさんはしっかり投票に行く。だからそこに税金を回す。政治家なら当たり前のことをやってきた。議員が、政治家が、自分の身分を守るために票になるようなところに税金を回してきたのが、今までの政治。きょうはどうも20代、30代の人しかいらっしゃらないようなので・・・。（聴衆、笑い）そんなことないですか。
　たいへん申し訳ありませんけどもね、我が日本国における若者への投資、税金の投入額、世界の先進国のなかでも極めて低いんです。若者の活力が生まれなければ、日本の活力は生まれない。日本の活力が生まれなければ、高齢者も含めて、弱者を支えることなどできません。

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