NTT西日本グループでは、ひとり暮らしの高齢者の安否確認用に、得意の電話を使ったサービスを提供している。高齢者の健康相談や生活するうえで発生した個別の案件に対応（相談にのる）し、必要なら専門の業者に取り次ぐサービスもある。既存のコールセンターを活用し、自治体や企業からの受託を目ざしている。サービスの受託料は案件ごとに違う。例えば、１万人規模の場合、月１回電話するサービスで、月額500円。各種オプションの利用次第では、利用料はさらに高額となる。また月１回のコールで安否確認といえるかどうか疑問を感じないわけではないが、需要は増えるだろう。こうした大企業のサービスでは充実した商品を提供できる反面、規模を拡大し、顧客数を増やさないかぎり商売になりにくい。利用料もそれなりに高額となる。
ここに、サービスする商品を絞り、特化することでリーズナブルな利用料を提供できた会社がある。従業員は代表１人。小規模の集合住宅や戸建て地域にもサービスを提供可能にしたのが、埼玉県所沢市にあるMTネットサービスがそれである。
代表の岡本肇氏は「サービスの種類だけではなく、利用するツールも選別することで、利用料を下げることが可能になります。例えば、高齢者に特化したコールの場合、携帯電話ではなく固定電話を利用することで利用料を４割下げることに成功しました」と胸をはる。いただいた名刺には、「モーニングコールから緊急一斉連絡まで！」という文字が躍る。注目すべきは「高齢者向け総合連絡サービス」だ。
パソコンを駆使できる高齢者は少ない。従ってインターネットもやらない。携帯電話を持つ高齢者は多くはないが、固定電話（家電）がない家はない。固定電話というもっとも基本的なツールを利用することで、充実した内容でいながら安価な利用料の設定を可能にした。３つのサービスがある。
（１）「お元気コール」：登録されている各高齢者の希望時間にモーニングコールを行う。電話口に出ない場合とか、体調に問題がある場合には、管理者に電話とメールで連絡する。電話に出た高齢者は、自分の体調をボタンの番号で回答する。例えば、「最良」なら（１）を、「良好」なら（２）を、「普通」なら（３）を、「不良」なら（４）を、「最悪（問題あり）」なら（５）をプッシュする。必要に応じて、希望者には各高齢者の回答グラフにして示すこともする。長期の健康状態を知ることが可能になる。
（２）「安否確認」：地震や台風などの自然災害時、契約高齢者に安否確認の回答をしてもらう。電話に出ない場合や回答次第で管理者に電話とメールで連絡する。
（３）「一斉連絡」：イベント等の通知や出欠を要する通知にも対応することで、管理者は結果（出欠の一覧）を把握できる。
例えば、利用者が100人いる集合住宅の自治会や管理組合などが管理者となって利用する場合、初期費用として２万9,400円、月額利用料金9,450円。ただしこれは100人が月に１回（１コール）利用した場合である。
見守りを本気で考えるなら、月１では問題外。毎日定時に利用することに意味がある。だから、「お元気コール」を毎日利用すればこれに30日分（１カ月を30日として）をかけることになる。100人×30円×30日＝９万円。これから月額基本料の9,450円を引いた８万550円を100人で割ると、約805円。これが個人の負担する月額となる。実にリーズナブルといえよう。ただしこの値段は固定電話使用の場合のみで、携帯電話での利用の場合は１コール20円ほどアップする。
「月額利用料が分かりにくいですね。利用状況（利用人数など）によっては、料金の見直しも考えています。相談して下さい」と岡本代表は話す。大いに期待したい。
＜COMPANY INFORMATION＞
■MTネットサービス
代 表：岡本 肇
所在地：〒359ー1101埼玉県所沢市北中１ー202ー７
ＴＥＬ：04‐2929‐6477
ＦＡＸ：04‐2929‐6472
Ｅ-mail：okamoto@mailtel.net
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