<部落解放同盟の活動の歴史を愚弄する>
10月26日号の≪週刊朝日≫が完売して書店から消えたと言っても、部落解放同盟の関係者の誰か1人くらいはこの号を入手したはずだ。
【緊急連載・ハシシタ奴の本性】という見出しを見ただけでも、部落関係者でもない常識人の弊社記者団でも吐き気を催したくなった。たしかに、橋下大阪市長は被差別部落出身かもしれない。しかし、部落差別闘争の蓄積のうえに「世の中の知的常識」というものが構築された。我々の直感的感覚からも、この【ハシシタ奴の本性】が目に止まったときに、≪あーこれは部落解放運動への反逆である。許されるものではない。まして朝日新聞の子会社の雑誌の記事だ。影響は大きい≫と判断した。
ところが、どうしたことだろう。少なくとも現時点では、部落解放同盟が組織的に糾弾行動を起こした情報を耳にしていない。「この記事を黙認したら、水平社以来の部落解放運動の実績を否定するものになり下がる。またまた差別横行が罷り通る時代へ逆行することにもなりかねない」と危惧の念を抱くのだが――。部落解放同盟の関係者が、「至らぬ揉め事には関わりたくないと思っている」とは考えたくないのだが。
<闘争心を失えば組織は衰退する>
週刊朝日10月26日号の【緊急連載・ハシシタ奴の本性】記事から引用してみよう。
まず引用以前に、記事全体には筆者・佐野眞一の差別意識が充満している。文学者でもない単なる実録レポーターが偉そうに、「平成の坂本龍馬を気取って、"維新八策"なるマニフェストを掲げ、この国の将来の舵取りをしようとする男に、それくらい調べられる覚悟がなければ、そもそも総理を目指そうとすること自体笑止千万である」とほざいている。たかが、中内氏(ダイエーオーナー)や孫氏(ソフトバンクオーナー)、橋下氏という『旬の人物』に便乗して稼いでいる程度の文屋に過ぎない。「使命感を持って(「ハシシタ奴の本性」を)連載するのであれば、1回で中止するな!!自力でネットででも連載しろ」と言いたい。
<引用1>
阪神タイガースの野球帽をかぶった関西弁丸出しのおっさんは、こんな話から始めた。
「橋下さんの父親は水平社あがり(被差別部落出身)で、それに比べて母親の方は純粋な人やと思う。これは私の持論なんやけど、一般的に子どもは親父の精子が80%(以下略。ここからは女性蔑視丸出しの表現が続く)」
思うに佐野眞一の論述手法は、得体の知れない奴の発言を滔々と書きまくることだ。意味もない綴りで、読者に悪意をインプットさせる。
<引用2>
「強かった。相撲も強かった。なんでそんなに相撲強いのって聞いたら、『奈良の少年刑務所で相撲しとった』って言ってた。いまはどうか知らんけど、奈良の少年刑務所にはその頃、相撲道場があったらしい。ピッキャン(橋下市長の父親の通称・故人)は八尾の安中の生まれやけど、子ども時代から悪くて有名やったらしいねん」
橋下之峯(父親の名前)の出身地の八尾市安中地区には被差別部落がある。
ここまで赤裸々に書かれれば、糾弾の対象にならないのか!!部落解放同盟の関係者の皆さん。
たしかに、橋下市長とは大阪市の運営の対立があるのかもしれないが、日本の社会は暗転の動きをし始めているのですぞ!!【物が言えない時代の前兆もある】ことがわからないのかな!!
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