<ケース1>
A社が社屋を建てたのは3年前だ。調査に行くと、この社長が自慢げに話す。「今、ウチは、焦げ付いても5億円は調達できる。不動産が無担保だから」と、胸を張る。「社長!!新築の社屋だけは担保が入っているでしょう」と聞けば、「いや無担保よ」と答える。
社屋建築資金に関して、短期信用借りで半年前に一括返済したそうだ。その裏を取るために登記簿謄本を取ったが、本当に無担保であった。
<ケース2>
ミニ分譲している工務店の話である。3区画2現場と、4区画1現場の建売を売り出している。10戸の総事業費は3.6億円だ。
「不動産購入費は借入で賄っているのでしょう?」と、常識的な質問をした。すると、「1現場の8,000万円の借入だけはしたが、あとは自己資金で繰りまわしている。できるだけ銀行から借入せずにまわしていく方針だ」と、えらく手堅い。
この2社とも、規模からいえば中小企業である。借入をしても、金利は1%前後で調達できるのだが、極力【借りない主義】を貫いている。これでは、銀行も貸し出し先を見出すのに苦労するだろう。
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