福岡市やジェトロ福岡などが関わる福岡アジアビジネス支援委員会が主催する「中国セミナー」に参加した。そこでは、中国に進出した若きベンチャー社長2人の成功の秘訣が語られるとあって、会場には50人以上の聴講者を集めた。そうしたなかでも、最近の関心事はやはり中国国民の反日感情についてだ。
2008年に中国の富裕層女性をターゲットに日本の商材に特化した通販「ビーナスベール」を立ち上げ、中国における通販市場の開拓を行なっている上海美幽商貿有限公司の伊藤嘉一郎社長は、反日デモが起きた週だけ一気に売上が20~30%落ちたという。そして、次の週にはある程度回復したという。国慶節の大型連休を経て、ようやく普段通りに戻ると見込んでいる。
反日デモのさなか、取引先からは「同じ国民として恥ずかしい」「うまくやってあげられなくて、申し訳ない」というねぎらいの言葉を多く受け取ったという伊藤社長は、「日本人と仕事をしているほとんどの企業は、反日感情なんて抱いていません」と話す。ビーナスベールでは、カタログ通販やEコマースでインナーや健康商材、化粧品などが主力の取扱商品。「日本製」ということを大きくアピールしているが、伊藤社長によれば、ほとんどの中国人顧客は日本のものを買っているというより、品質の良いものを買っているという意識だという。富裕層をターゲットにしている点では、反日感情を抱いている層とは少々離れているのかもしれないと分析している。
ただ、貿易に関しては、検査が若干厳しくなったのではないかと感じているようだ。「自動車関連とかレアメタルとか、いわゆる政治的な商材はある程度規制を受けるかもしれないが、我々のような日用品まで規制されるのは一時的なのでは」と伊藤社長。中国が今、経済を最優先している状況の中、貿易関連において、締め付けや「日本いじめ」が強まることはないのではと分析している。
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