一方、上海の路面店で、日本ブランド中心のセレクトショップ「FASICART」を今春オープンさせた(株)パブソンの兒玉公人社長。こちらも日本製を全面的にアピールしている店だ。反日デモのピークだった9月18日には、「これから店を襲撃に行くぞ」という旨の書き込みを発見し、当日と翌日の2日間、休業を余儀なくされた。売り上げも一時は下がったが、今は完全に戻っているという。
(株)パブソンは、中国の情報誌への記事広告やウェブを利用した独自の販促マーケティング手法で、企業のブランディングやプロモーションを行なっている。自社が運営するセレクトショップの集客もファッション雑誌などに記事を書いてもらうという広報PR戦略を用いているが、反日デモの影響で、記事の出稿も一時中断せざるを得ない状況になっているという。路面店ということで、人目には付きやすいが、そもそもデモを行なっている人たちは、ターゲット層ではないので、兒玉社長は「反日デモなんかをまったく気にしていない客ばかり」というが、日本企業の広告を掲載していることに反感を買われかねない状況のなか、情報誌の記者を気遣って広告出稿を中断しているのだという。
セレクトショップ「FASICART」は3月のオープン以来、好調に推移しているという。ただ、兒玉社長はリスク管理は徹底していると話す。「百貨店だろうと路面店だろうと、回収計画を18~24カ月に設定しています。そのぐらい短いスパンでビジネスを考えなければ、中国では何が起きるかわからないですからね」。
中国に進出している中小企業にとって、良い勉強の機会となったであろう、今回の反日デモ騒動。中国ビジネスでは、小回りの利く経営、より迅速な経営判断が求められているようだ。
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