世界を席巻しているアメリカアップル社の携帯電話iPhone5、その中枢部品は、日本からの物が一台の部品総数の37%を占めているのだ。携帯電話は中国で組み立てられ、「MADE IN CHINA」となって、中国から世界各国に輸出されている。日本の中枢部品の輸入がストップしたら、結果はどうなるだろう?富士康(FOXCONN)の労働者は失業し、場合によっては労働争議が起こり、中国地方政府は、カネを出して「穏便処置の念書」を買うことになるが、かくして、中国の輸出額は減少し、アップルは生産基地を中国から撤退し、富士康は東南アジアに引っ越してしまう。
外資の吸引では、実は、日本が中国最大の投資国であると言う事を、中国はずっとあまり公にしたがらなかった。この数年来、日本企業は、中国において600億ドル余りを投資し、4万余りの投資プロジェクトを立ち上げ、且つ、その全てが、うそ偽りのない本物の投資だった。
今年上半期に、中国商務部が発表したデータによると、本年1~8月期、海外から中国への投資は3.4%減少したが、日本からの対中投資は逆に19%増加するという、一頭地秀でているのだ。地価高騰、労働コストが年々上昇する中で、日本企業が相変わらず中国に対し高い投資熱を維持している事については、日本企業に感謝すべきなのである。
もし、我々の心の底で、日本の対中投資大幅減少を望まず、又、日本企業の中国大幅撤退を望まないのならば、我々はひとつの教訓を理解すべきなのである。
2005年、日本首相小泉純一郎の靖国神社参拝に抗議する為、中国各地で反日大デモ行進が発生したが、この反日大デモ行進騒動の結果、1台の日系自動車も打ち壊される事もなく、また、どこの日本企業も襲撃される事もなかった。ただ、日本駐上海総領事館が、多くの卵をぶつけられ、数枚のガラスが壊されただけだった。
その結果として、日本企業は「対中投資は、経済的リスク以外に政治的リスクが有るのだ」と、一夜にして覚醒したのだった。それ以降、日本企業は東南アジアやインドへのシフトを敷き始めた。彼等は「卵はひとつの篭だけに容れるべきではない」と、悟ったのである。
ここ数年の並々ならぬ努力の結果、中日関係は正常化しつつあり、昨年の大地震後、また、対中投資増加が始まったのだが、今年は、2005年より更に激烈な反日デモが起き、日本企業打ち壊しなどという暴行事件が出現したのである。
我々は、日本経済は既に20数年低成長、時にはマイナス成長を続けて来ており、日本の社会制度並びに一般庶民の心理状態は、このような低成長に適応可能状況にある、という点をはっきりと認識すべきである。しかし、中国のGDP成長率が、5%もしくは4%に下落するとすれば、中国の支払うべき社会的コストは膨大で、一寸ひもじさに耐えれば解決出来ると言うような問題ではないのである。今の中国には、どうしても低成長は受け入れられないのである。
従って、鄧小平先生の残した遺訓「韜光養晦」(能ある鷹は爪を隠す)を引き続き守るべきである。中国は、まだ日本のような世界の主要な経済体と経済的に対抗出来る時期ではない。もし、今日政治的原因で、中国が日本経済を制裁し、又、日本企業を制裁すれば、中国にあるすべての外資企業も、いつの日か我々もきっと同様な運命に遭う可能性があると考えるだろう。
我々は、もし、どうしても対日経済制裁を実行することになるならば、「政冷経逃」の時代に突入してしまう事を危惧する。更に、両国に多くの対立を醸成し、「戦略的互恵関係」を「戦略的互損関係」へと変えてしまう。なににも増やして冷静な対応が必須である。
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