<移住に抵抗のない中国人>
ある台湾人の留学生の女の子がつぶやいた。「台湾人は、日本が好きで日本に来ている。でも、中国人は、日本は嫌いでも日本で働きたいから日本に来ている。外国人の労働局に行くと中国人がたくさんいる」――。
先月、中国各地で反日デモ、日本の製品の不買運動が最大規模で広がった。日本人の感情としては、「日本が嫌いなら、日本で働かなくてもいいのに...」と少なからず感情論で思ってしまう。しかし、GDPで第2位の大国となった今もなお、日本で働きたいという中国人は多い。実際、留学生として来日し、飲食店などでアルバイトをする中国人の姿を目にする機会が年々、増えている。
中国人は、「世界のどこが稼ぐのにいい場所か?」というアンテナを日本人よりも敏感に働かせ、その稼げる場所へ、身軽に飛んでいく。同じ場所に長く住んでいたいという人が多い日本人とは違って、異国への移住をいとわない。
<国内の中国人労働者は約30万人>
97年の香港の返還前には、多くの香港人の富裕層がカナダなどに移住。78年の改革開放以降、中国から飛び出した新華僑。彼らの考えのなかには、いつ中国本国で政変などが起きても、大丈夫なように、すぐに出て行ける拠り所を作っておくという「リスク分散」の心積もりもあるようだ。「血縁者や同郷人のために、リスクを分散するために、リスクを冒せる」。いい意味でも悪い意味でも面の皮が厚く、いい意味でも悪い意味でも"国境"の意識がない。そこに中国人の持つパワーの源がありそうだ。
厚生労働省の出した11年10月時点での「外国人雇用状況届け出状況」によると、届け出があるだけで、68万6,846人の外国人が日本で働いている。そのうち、中国人がもっとも多く、29万7,911人。全体の43・3%を占めている。
このところ、東京で働く中国人の主な拠点となってきているのが、JR池袋駅の北口付近だ。豊島区には、1万1,737人の中国人が外国人登録をしており、東京都の23区では、新宿区、江戸川区に続いて第3位。豊島区の人口は約26万人。26人に一人が中国人だ。しかも、その数は池袋北口付近に集中しているので、北口に立つと、それ以上の印象を受ける。中国人経営の店が軒を連ね、小さなチャイナタウンが形成されている。
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