<世界中にあるチャイナタウン>
09年ごろ、観光客を呼び込むため池袋北口付近を東京チャイナタウンへと作りかえる構想が立ち上がったが、地元商会の反対があって、構想は立ち消えた。それでも、チャイナタウンは、ロンドン、パリ、ニューヨークなどの世界的な大都市だけでなく、日本では神戸、横浜、長崎、マンチェスター、サンフランシスコ、シドニーと、世界のあらゆるところに存在する。
日本人もロサンゼルスのリトル東京や、戦国~江戸時代初期には、ベトナム、タイなど東南アジアにも足を伸ばし、日本人町を形成した。しかし、それほど国を出たがらない日本人に対し、中国人(老華僑~新華僑)の作り上げたネットワークは、近くは東南アジア、ヨーロッパ、オーストラリアから、南アフリカ、南米まで世界のいたるところに広がる。
<同郷での助け合いの精神>
タフさと適応能力を併せ持つ。日本人よりも、組織に帰属する意識が強く、同郷の人同士での結束力も強い。住居、職の世話など、助け合いの精神を持っている。
反日デモのような暴動を起こすなど問題を抱えているのは、中国人そのものではなく、むしろ、政治的なシステムの問題、共産党一党政治の方ではないだろうか。経済大国にのし上がったが、一党独裁を堅持する中国は、政治面では国際的な水準にあるとは言えない。
明、清の時代には世界レベルの文明、文化を築いた中国。1世紀単位の長い目で見ると、英断、断行をできる指導者が出さえすれば、どこかで政治的なひずみを解決、ほかの先進国との帳尻を合わせてきそうな気もする。共産党への忠誠心の強さもトップに上るための条件の一つに挙げられていることを思うと、すぐには実現できないだろうが...。
今はまだ、日本人から見ると、一般民衆レベルでは、マナーもなく、デリカシーもなく、モラルもないかもしれない。しかし、いい意味でも悪い意味でも、外国人ばかりの土地に踏み込んでそこで生活をしていくハートの強さがあったからこそ、世界中にチャイナタウンを形成できた。
尖閣諸島の領土問題やビジネスで対峙する時、中国人の持つ面の皮の厚さには、一目置くべきだろう。海を海と思わず越えていったタフさ。国境を越えて異国で自分たちのコミュニティを作り上げていく助け合いの精神、結束力の強さには敬意を払うべきかもしれない。
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