2013年3月末までは、太陽光パネル再生エネルギー電力の1kWh42円の買い上げが決定している。「このチャンスを掴め!!」とばかり、誰も彼もが「【太陽光の発電王】にならん」と欲得先行で走っている。さらに拍車をかけているのが、各自治体が遊休不動産用地に太陽メガソーラー設置を進める舵取りを推進し始めたからだ。「コダマさん!!佐賀県のある自治体の勧めでメガソーラーを建設する」というような説明が増えている。
A社長は、太陽光パネルヒーター設置の工事を受けてきた。今回は、熊本県のある自治体の遊休地にメガソーラーを建設するプロジェクトの話が舞い上がってきた。2現場あり、一方は鹿児島の業者が名乗りを上げていた。ところがこの鹿児島の業者は、県内で処理する案件が多すぎて「熊本まで手が回らない」と断ってきた。この業者も「太陽光を利した発電王になる」企業戦略を展開しているのだ。鹿児島でも資金力ある企業として、信用がある。
A社長も、「発電王の端くれになる」魂胆を密かに抱いている。「1現場が空いている。3億円の設備投資がいるが、役所へ地代を払っても15%の利回りは確保できる。ビルを購入するよりもメリットがある。どこか紹介してくれないだろうか」という打診だ。鹿児島の業者が撤退した経緯もすべて説明してくれた。
筆者は、「A社長!!2物件で6億円の投資ではないか?御社、単独でもやれるではないか」と切り返した。「まー、しかし、せっかくのことであるから」と、電材関連の会社のB社長を紹介した。結果、興味ある議論の場になった。
<省エネ王になる>
当初、B社長はA社長の「太陽光による再生エネルギービジネス貢献」の意義に関する弁舌を黙って聞いていた。B氏の関心は高い。A氏は気分を良くして、口調が舐めらかになっていた。
突如、B社長が口を挟んできた。「私も原発再稼働は、絶対反対だ。いざとなれば制御できない原子力というエネルギーを利用するとは、言語道断である。だから、自然再生エネルギーを波及することには賛成だ。ただ、発電力を増やす、代替えするという発想ばかりではなく、【省エネ】という観点からも考えた方が良いかも」と、私見を述べた。
A社長も興味を示して口を閉じ、聞き役に回った。B氏は、公園や通りの照明装置にLEDを取りつけた。投資額はそれなりの金額になるが、消費電力は半減以下になる。役所は既存の電球をLEDに切り換える予算をつけている。業者たちは一種のバブルに酔いしれて、商売繁盛のようだ。役所の対応には誤りはない。
B社長が力説する。「LEDの商品がまだ少ない。しかし、既存の照明器具に対応できる多品種の商品の開発の実現は、時間の問題だと思う。もし、家庭内の照明類がすべてLEDにチェンジできたならば、家庭内の電力を半減することも可能だ。まずは、30%の節電は容易である。一方では、産業・業務用の省エネの動きも加速化する。そうなると、2~3年の間に、総体で20%程度の使用電力の圧縮はできるだろう」。
そうなると、だ。九州管内での使用電力量の年間平均換算値は、1,300万kW(1日分)が1,100万kWを割ることになる。「わー、こうなれば、別に原発に頼らなくてもやっていける」という確信が持てる。「省エネビジネスも悪くないな」となる。
どうであれ、激変の時代に【発電王になろう】、【省エネ王になろう】という意欲満々で【欲得先行】の挑戦をしないと、中小企業は生きていけない。
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