高島宗一郎市長の市政運営に、懐疑的な見方が拡がり始めている。NET-IBで既報の通り、2004年度から続いていた10%の市長給与カットを、就任直後に止めていたことがわかってからは、市内外から批判の声が絶えない。
29日には福岡の調査報道サイト「HUNTER」が、市内部で市長給与カット継続の是非を論じた形跡さえなかったことを、情報公開請求で入手した文書をもとにすっぱ抜いた。「市長の独断」によって給与カットが打ち切られたことを示しており、そうなると事態は深刻としか言いようがない。
福岡市では、半年かけて行なわれた行財政改革に関する有識者会議の提言を受け、より一層の引き締めを講じることになっており、市役所内部での緊縮策はもとより、市民サービスの削減さえ予定されているのだ。一方で、市長の給与だけが上がっていたというのでは、市民が納得するはずがない。
ちぐはぐな市政運営の原因になっているのは、「独断」で具体的な施策を決め、上意下達で物事を進める高島流の経営手法だ。
たびたび「HUNTER」が噛みついてきた、二階建てバスへの補助金支出や、市役所1階の過剰な改装工事は、たしかに同市長の鶴の一声で決められたものだし、日中関係の緊張で事実上の中止に追い込まれた中国人の研修受け入れも市長が強引に進めた施策だ。
いずれも事前に議会関係者への相談がなかったとされるうえ、市内部での十分な議論さえ経ていない。唐突に記者発表して、世間の耳目を集めることに快感を覚えているかのようなはしゃぎぶりだ。
高島市長がやってきたのは、あれが欲しい、これが欲しいと思いついたことに税金支出のアリバイをくっつけさせただけで、大きな方向性を示した後に、各方面から知恵を出し合わせるというトップダウンの理想形とはほど遠いものなのだ。どうやら高島市長は、行政におけるトップダウンの意味を理解できていなかったらしい。
就任から2年近く経つが、これほど市役所内部での評判が下降した市長は珍しいとさえ言われ始めており、任期中に大きな仕事をやれる可能性は極めて低い。
福岡市が誇れる市長を誕生させる日は来るのだろうか...。
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