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やっぱりペレットストーブがいい(前)~優さんコラム(11)
連載コラム
2012年11月 1日 15:38

 急に寒くなってきて、この冬初めてペレットストーブをつけた。燃焼トレイは少しさびていたものの、火を点けると勢いよく燃える。昨年入れたストーブは健在だ。このストーブは新潟の「さいかい産業」が作ったものだ。燃焼効率は86%と極めて高い。しかし着火は手動だ。自動着火装置は電気を食いすぎるから外したためだ。しかし着火剤に火を点けて燃焼皿に入れ、スイッチを入れるだけなので手間ではない。

 このストーブを開発した古川さんと会ったのは5年前のことだ。当時彼はこの高性能なストーブを開発したが、開発費用の返済に困っていた。ぼくが未来バンクという市民で作る非営利のNPOバンクをしていることから、融資できるかどうか見てほしいと友人に連れて行かれたのだ。当時、国内のペレットストーブには良いものがないのを知っていたので、正直ぼくは行きたくなかった。
 しかし古川さんの作っていたストーブは違っていた。室内の空気を汚さないFF暖房、防火工事のいらない二重管の煙突、置き火利用による高い燃焼効率で灯油よりランニングコストが安く、徹底的な熱交換で暖かいのにストーブ自体は熱くならないので外側に自動車の塗料が使えるほどだ。

 そこで仲間たちに協力してもらい、「さいかい産業」の立て直しに努力した。一番効果があったのはテレビ番組で紹介してもらったことだ。おかげで問い合わせが殺到した。ところがさいかい産業が持っていたペレット工場が火事で焼失。一時はここまでかとあきらめかけた。そのときに新潟の中堅会社である「新越金網(株)」が、この会社を古川さんごと買ってくれたのだ。社長の山後さんは「古川さんをストーブごと買ったんだよ」と言う。
 そして2011年、ついに黒字に転換した。そしてこの冬は、去年の3倍の勢いで売れているそうだ。ペレットになった分だけ灯油の輸入が減り、地域に資金が還元されている。

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【田中 優】

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<プロフィール>
_tanakasi_p.jpg 田中 優 (たなか ゆう)
1957年東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和などの、さまざまなNGO活動に関わる。現在「未来バンク事業組合」「天然住宅バンク」理事長、「日本国際ボランティアセンター」 「足温ネット」理事、「ap bank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表を務める。現在、立教大学大学院、和光大学大学院、横浜市立大学の 非常勤講師。『シリーズいますぐ考えよう!未来につなぐ資源・環境・エネルギー①~③』(岩崎書店)、『原発に頼らない社会へ』( 武田ランダムハウス)など、著書多数。


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