<SNSがウィルス感染の温床になる?>
――守屋さんは、「フェイスブックが危ない」(文春新書)という本を書かれて、SNSの利用者に警鐘を鳴らされています。SNSとセキュリティに関してコメントを頂けますか。
守屋 SNSとセキュリティはとても深く関係があります。たとえば、フェイスブックは現在、世界で10億人、7人に1人が加入しています。これだけ大規模なプラットフォームは他にはありません。上手く使えば容易にウィルスを世界中に蔓延させることができます。従来、ウィルスを蔓延させるためには、企業のホームページとか個人のメールアドレスが狙われました。しかし、これらと比較して、フェイスブックに限らずSNSは母集団が桁違いです。さらにSNSは原則、友人など信頼関係から成り立っていますので、ファイルの開閉などが無防備なのです。今、日本ではフェイスブックによる犯罪が諸外国に比べると少ないと言えます。しかし、加入者が1,000万人を超えた昨年から急激に増え始めました。それは"悪さ"をする方も相手が太ってからでないと効率が悪いからです。
私が「フェイスブックが危ない」を書いたのも、まだ日本では諸外国に比べると、この種の犯罪が起こっていなかったからです。起こってからでは遅いので、予防として事前に読んで欲しかったのです。
――最後になりますが、最近、時々マスコミを騒がす、「サイバー戦争」、「サイバーテロ」に関してコメントを頂きたいと思います。
守屋 この問題は専門ではありませんので知っている範囲でお答えさせていただきます。国家間であっても、あれば尚更、犯罪が起こっても犯人の特定は難しいと言えます。
国家間においては、この種の犯罪はますます増えてくると思います。戦車、戦闘機は最低でも1台、1機で何億円、何十億円かかりますが、ウィルスはプログラムなので、人件費と調査費だけで済むと言われております。プログラムもある程度やり方がわかると、特殊技術は要求されません。
そこで、世界各国でサイバー軍とかサイバー隊が創設されています。アメリカのUSCYBERCOM(米サイバー司令部)は有名です。また中国国防部の報道官によれば、広東省広州軍区に電子専用部隊の訓練などを行なう組織が存在しており、韓国は2011年に高麗大学にサイバー国防学科を創設しています。日本も防衛省にサイバー空間防衛隊(仮称)が創設される動きが進んでいます。
【後記】
11月1日、警察庁はサイバー犯罪の捜査で得たコンピューターウィルスの情報を一元管理するデータベース(DB)を創設した。男性4人を誤認逮捕したパソコン遠隔操作事件を教訓に、ウィルスの性質や類似性を迅速に把握して捜査に生かすのが狙いだ。
一方、昨年7月に14日に米国防省は「サイバー空間作戦戦略」を発表している。これは、サイバー空間を、陸、海、空、宇宙に次ぐ「第5の作戦領域」として定義し、米国がサイバー攻撃を受けた場合にはミサイルなどの通常兵器による報復攻撃を行なうとしたものである。
「サイバー犯罪」、「サイバー戦争」、「サイバーテロ」と国内、国外ともに、当分は目が離せない。
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