(株)新日本科学は10月24日と25日、立て続けにIRを発表した。前者は、「歯の神経再生治療に光明」と題するもの。愛知県の国立長寿医療研究センターが中心となって進めている「歯延命化をめざす歯髄再生実用化の隘路解消」の臨床研究の実施が、厚生労働省科学技術部会により承認されたというものだ。同社は同研究において、実験動物を用いた歯髄再生の前臨床試験、ヒト歯髄幹細胞の移植の安全性評価などを担当している。
折しも、世間ではiPS細胞に代表される再生医療が注目されていた。また現時点では、歯髄細胞の方がiPS細胞よりも治療における有用性が高いという内容も相まって、投資家から同IRが好材料と見られ株価が好転。今年10月4日の年初来安値186円から一転、同26日には年初来高値482円をマークした(11月8日終値は335円)。
後者は、「SNBL U.S.A., Ltd.のAAALAC International完全認証継続に関するお知らせ」だ。AAALAC Internationalとは、「自主的な認定および評価プログラムを通して、科学における動物の人道的な管理を促進する国際的な権威ある民間非政府団体」(同IR)で、とくに実験動物の管理・使用に関するチェック機関である。
端的に言えば、同IRでは実験動物の管理環境が高く評価され、SNBL U.S.Aのみならず鹿児島本店の安全性研究所でも同認証を取得しており動物実験における問題は何らない、ということだ。
同社が実験動物の管理環境の話題に神経を尖らせるのには、理由がある。それは、動物実験における"動物虐待"が社会的に問題視されているためだ。同社は、ヒトとの遺伝子的類似性が高く、そのため実験動物として優位性が高いとされるサル(主にカニクイザル)を用いた前臨床試験を強みとしている。サルの繁殖施設は国内外にある。
試しに「新日本科学 猿」というキーワードでネット検索すれば、海外における同社の"動物虐待"にまつわるいくつかのトピックスが出てくる。次回、同社の動物実験の方法と、それらに関連する動物管理で問題とされている点について整理してみたい。
<COMPANY INFORMATION>
■(株)新日本科学
代 表:永田 良一
所在地:鹿児島市宮之浦町2438(本店)
東京都中央区明石町8-1(本社)
設 立:1973年5月
資本金:53億9,105万円
売上高:(12/3連結)152億7,396万円
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