<国民のために体を張るのが政治家>
佐藤栄作政権以降の政治家たちで歴史に名を残すのは、中曽根康弘、田中角栄、小泉純一郎、小沢一郎の4名であろう。平成に入って24年間、日本政界はこの小沢一郎を中心に動いてきた。彼の強さは、国家権力の中枢にいながら、その権力のポストを平然と投げ捨てたことだ。小沢氏本人をインタビューした。
小沢氏は、「1989年の幹事長の地位に執着していたらこんな苦労はしていなかった。しかし、権力中枢から日本の国を眺めると『この国はいずれ行き詰る。国民は不幸のどん底に陥るだろう』という予測が立った。そうとなれば政治体制の変革に挑まなければならない。そういう使命感がなければ政治家を辞めてしまうべきだ」と、淡々と語る。この言葉を耳にして赤面の思いに至る政治屋はゴロゴロいるはずだ。
「衆議院で300議席以上の圧倒的な多数派を形成していた民主党政権が、崩壊寸前になったことについて、どう理解すれば良いのだろうか?」と質問を投げかけてみた。小沢氏は、「基礎的訓練がまったくできていなかったことと、心構えができていなかったからだろう」というコメントをくれた。要するに民主党に結集した政治屋たちは〝自民党政権を倒すこと〟だけが最終ゴールになってしまっていたのだ。〝与党=国家権力遂行者〟たる心得、立ち位置、運営に関してまるで準備不足、興味がなかったのである。
「政治主導」と叫んでみても日本国家組織(官僚機構)を動かすノウハウは何も知らない。大臣の要職に就いた連中は、〝役人へ仕事の丸投げ〟を行なう。そうなると役人たちは民主党議員たちを馬鹿にするようになる。手抜き・足を引っ張る策略で狙われる破目になってしまう。
しかしながら、どうであれ与党は居心地がよい。議員1人ひとりは既得権の誘惑に惹かれていく。変革の意識は劣化して自己保身に終始するようになる。「できるだけ解散を延ばしたい」という醜態をさらけだす始末だ。小沢氏の不屈の変革意志(政治家の使命)の爪の垢を煎じて飲め! この醜態が国民にどういう悪影響を与えたのか!! わかっているのか。
<〝右翼バネが危険〟という認識>
民主党に期待し、裏切られた結果、国民の政治に対する関心の度合いは薄れてしまった。現在、大手を振るって闊歩しているのが自称民族派の右翼たちだ。ネットの世界では彼が声高々に騒いでいる。極端な連中は「中国との戦争を躊躇するな!!」と焚きつけている。
小沢氏も、国民の政治不信が民族派に引き回されることを憂慮しているようだ。古今東西、中道市民派と目された政権が行き詰ると必ず過激な政治体制(ヒトラーなどの独裁政権)が誕生する。こういう危険な瀬戸際に立ったのは民主党のだらしのない政権運営に起因しているのだ。「民主党は解党すべきであろう!!」と提言する。
小沢氏は度々、東日本大震災の被災地を訪問している。福島第一原発事故で福島県全体の3分の1が空白ゾーンになった事を知り驚愕したという。被災地で「国民の生活の安全を守らなくて何が政治だ」と叫んだのではないだろうか!! 「脱原発」の政治方針が定まった。「迫りくる解散総選挙に勝利しないと日本の行く末は闇になる」という認識のもと、政治家・小沢一郎は最終戦争に果敢に挑もとしているのだ。
▼関連リンク
・小沢一郎氏、控訴審も無罪~陸山会事件・東京高裁判決
※記事へのご意見はこちら