(株)新日本科学は2004年、中国・広東省で霊長類の繁殖・飼育・検疫・輸出事業を行なう肇慶創薬生物科技有限公司(SNBL CHINA)の実験動物供給センター、07年カンボジアに実験動物の繁殖施設をそれぞれ設立。さらに、メディポリス指宿にも約4億円の投資額とされる繁殖施設を構えており、「総計4万匹が収容できる世界で最大級の規模」(東証広報誌『Exchange Square』、08年6月永田良一氏インタビュー)となっているようだ。
霊長類であるサルの実験における取り扱いはほかの動物と比べて容易ではない、という問題を解決するため同社が開発したのが「保定器」だ。実験者が単独でサルの活動を確実に拘束し、神経を高ぶらせることなく安全かつ容易に前臨床試験をできるようにするのが目的で、96年に国際特許を取得したこの発明によって、同社のサルを使った前臨床の受託試験数が増加した。
あくまでも「サルにストレスを与えることなく実験に用いることができる」ことを強調しているが、国内外では動物愛護の観点から、同社の動物実験に対する懐疑的な意見があがっている。
07年11月、アメリカ北西部シアトル近郊にある(SNBL USA)において、実験用のサルが熱傷死したという事件が起こったとされる。檻の中に1匹残っていた猿に気付かず、従業員がその檻を消毒用の薬品や洗剤の混じった180digF(=摂氏82.2度)の熱湯のなかに20分放置し、サルを死なせてしまったという内容だ。
この事件が明るみになったのは、KIRO TVというワシントン州の地元テレビ局が潜入捜査し、報道したことによるという。彼らはSNBL USA元従業員たちによる証言などに基づいて、調査した結果だとしている。こうした事態を受けて、アメリカでは動物保護団体や人道団体による抗議活動が行なわれているようだ。
また、同じくアメリカのワシントン州ベドフォードにある実験室での問題も取りざたされている。薬物テスト期間中、サルに1分後、5分後、10分後、15分後、30分後と数回にわたり採血を繰り返した。通常30分後にはサルの血管はたびたびの採血で裂け、元社員は繰り返し針でサルの腕や太ももを刺し血液を採らなければならなかった。サルは、最初は大声で叫んだり、身震いしたり、けいれんするなど激しい反応があったようだが、数分間後には力尽きたという。
この記事では、同社従業員が不注意からサルを傷つけていたことも指摘されている。鉄のかごを強い力で閉じたとき、サルの尾が切断されたり、過度の力でサルが鼻血や骨折することもあったが、いずれのサルも治療されることなく心身に障害を負い、驚くような状態になっていたという内容だ。
<COMPANY INFORMATION>
■(株)新日本科学
代 表:永田 良一
所在地:鹿児島市宮之浦町2438(本店)
東京都中央区明石町8-1(本社)
設 立:1973年5月
資本金:53億9,105万円
売上高:(12/3連結)152億7,396万円
※記事へのご意見はこちら