<開かれる金融市場>
カンボジアの銀行については、次の様な事がわかった。プノンペン・コマーシャル・バンクでは、カンボジアの経済成長率は2004~08年の平均で10.3%と高いため、銀行金利も米ドル建ての1年定期で6.2%と高い(日本の銀行は約0.025%)。現地通貨のリエル建てではないため、為替リスクも少ない。しかも、海外送金なども自由(投資法・外為法で保障:米国の他行経由で所要2~3日、手数料0.1%程度)が保証されている。
一般旅行者は、通帳をつくることはできないが、私たちのようにカンボジア現地に所在地をもつ者が預金をするにはパスポートがあればよい。また、私たちが主催するツアー参加者も通帳を作る事が出来る。まず、住所や氏名を記入してお金を預けた後、本人確認のため写真を撮られる。定期預金は、利息を元金に繰り入れる複利の運用でも、利息を普通預金に移しても良い。カンボジアにおける事業の展開には、銀行からの融資は大きな影響があるが、今後の日本企業の進出を見据え、三井住友銀行や三菱東京UFJ銀行が、今年(12年)3月までに事務所開設した。
次に、11年7月11日に開設されたカンボジア証券取引所CSXは、現在カンボジアで1番の高層ビルであるカナディアタワーの25階にあり、ここからの景観は、勢いよく伸びて行こうとするカンボジアの姿を象徴している。取引所では、12年3月に「プノンペン水道公社」が上場実施し、売買取引が開始された。ここでは、HONG SOK HOURカンボジア証券取引所CEOに話を聞いた。
現在、世界に証券取引所を有する国は115カ国あり、カンボジア政府は経済成長の基盤づくりの一環として、07年より証券取引所の開設を検討し始めた。08年に韓国取引所をパー卜ナーとして共同で証券取引所を設立することになった。
CSXへはカンボジア財務経済省が55%、韓国取引所が45%を出資しており、証券取引法、取引システムはじめ取引所運営に関して、韓国側の全面的な支援を受けている。これは、11年1月11日に株式売買が開始したラオス証券取引所と同じ方式である。韓国政府が進めているインフラ輸出のひとつであり、金融市場の整備を通じて両国間の経済関係を深め、韓国企業の事業拡大にもつなげようという国家戦略に基づいている。
▼関連リンク
・【12/5】プノンペン中心部はビジネスチャンスの宝庫!~親日の国カンボジア進出お手伝いセミナー
<プロフィール>
大谷賢二(おおたに・けんじ)
カンボジア マーケティングコンサルタント 所長
九州大学法学部卒。1998年よりカンボジアでの地雷撤去、被害者救済支援、学校建設などを行なう。去年の3.11以降、国内での募金が東北に集中した結果、カンボジアでの経済発展に目を向け、合弁会社を設立。日本企業のカンボジア進出のコンサルなどを行なっている。アジア人権賞、アジア貢献賞などを受賞。カンボジア政府より国家建設第一党勲章を授与される。
※記事へのご意見はこちら