<アイランドタワースカイクラブの竣工までが事業第一期>
浮き沈みの激しいマンション業界のなかで、二代目にバトンタッチするのは至難の業だ。賃貸管理業界では、事業継承の実例は珍しくない。しかし、マンション業界は、バブルが襲ってくるたびに既存業者が消滅していく。新栄住宅(株)創業者である木庭兌(とおる)氏(現会長)の良きライバルであった経営者たちの大半が、経営戦争から淘汰されていったという厳しい現実がある。幾多の荒波を乗り越えてきたという事実は、兌会長の卓越した経営能力を証明しているということであろう。
沈着に先を見通してきた同氏は、2011年6月に長男である木庭律明(のりあき)氏に見事に事業継承を断行した。兌氏本人は会長に就き、律明氏を社長に抜擢したのである。後述するが、「アイランドタワースカイクラブ完売を完遂した。この時期が事業継承にはピッタリだ」と思いがめぐったのであろう。現会長になった木庭兌氏の、この直感は鋭い。失敗もあっただろうが大半は正解だ。
木庭会長は1967年に、戸建住宅建築を目的として個人創業に漕ぎつけた。創業から通算45年を迎え、あと5年すれば半世紀の歴史を築こうとしている。70年には有限会社に法人化を果たした。80年からは、戸建主体からマンションデベロッパーへと業態のチェンジを図ったのである。『アンピールマンションシリーズ』で業界の地位を不動のものにした。そして、『アンピールマンションシリーズ』の最高峰に『アイランドタワースカイクラブ』が位置する。今や、アイランドシティのランドマークになっている。夕暮れ黄昏時期の『アイランドタワースカイクラブ』の景観は「素晴らしい」の一言に尽きる。このタワーマンションは、2011年に「第52回BCS賞」など、数多くの賞を得た。ここまでが、新栄住宅の事業第一期の節目になる。
<激変の時代にはお客さま本位のサービスに磨きをかける>
二代目・木庭律明社長は、現在42歳だ。経営方針を尋ねると、やはり若い感性に満ち満ちた次のような回答が返ってきた。
「まず、私たち新栄住宅グループは、不動産・不動産サ―ビスにおいて、お客さまの『心身ともにストレスを感じない健康』をテーマにしています。そのための第一歩として、社員・家族を幸せにすることです。社員・家族が幸せでなければ、その先のお客さまから感謝されることはないと思うからです。そして、お客さまの不動産に関する『悩み』『疑問』『要求』に耳を傾け、聞き出し、解決していきます。そのためには、単に住宅を販売・管理・リフォームするだけでなく、不動産に関するコンサルティング(アドバイス)ができる総合不動産企業へ進化します。これは私たちの目標であり、お客さまへのお約束です」。
以上の経営基本方針を提示されたが、やはり「時代がチェンジした。業界が様変わりした。従業員、社員も変わった」と強く実感した。社内の雰囲気も激変したようだ。一言で表現すれば、『話し合いで、意見を出し合って決定する』柔軟な組織風土に変化してきているようだ。裏を返せば、自己責任が問われる。自分の意見がない者にとっては、厳しいということであろう。木庭会長は、新社長の経営施策を全面的に任せている。律明社長の、社員の意見を汲み上げて経営方針を貫くスタイルには、今後、一層の磨きがかかるだろう。住宅・不動産業界に従事したい学生たちは、一度、新栄住宅の門を叩いてみたらいかがだろうか!君たちの感性にフィットする会社だ。
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<COMPANY INFORMATION>
■新栄住宅(株)
代表取締役会長:木庭 兌
代表取締役社長:木庭 律明
所在地:福岡市中央区大名2-11-25
設 立:1970年2月
資本金:9,600万円
TEL:092-762-7711
URL:http://www.empire-mansion.com/
<代表者プロフィール>
木庭 律明(こば・のりあき)
1969年、福岡市生まれ。東福岡高等学校卒業。日本大学文理学部卒業後、東京にて不動産会社に勤務。帰福後、不動産受託・管理・保守・点検業務経験。95年5月に新栄住宅(株)に入社。主に開発畑を歩み、01年4月、取締役開発部長。04年10月、副社長に昇格。11年6月、代表取締役社長に就任。
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