<行政ありきの危険な考え方>
さて、県に翻弄されっぱなしの松陽台だが、先月1年ぶりに取材を行なった。まずは松陽台の「店舗等用地」の件である。スーパーなどの商業施設ができますと大風呂敷を引いたものの見込みが甘く誘致できていなかったが・・・。
「松陽台の店舗用用地への商業施設の誘致を諦めたわけではないのですが、話は進んでいません。広い県道210号線が近くを通っておりその路線に商業施設が連立しています。まだ住民がそれほど多く住んでいない松陽台には店舗がバッテングして採算が取れないために二の足を踏んでいるのではと分析しています」と担当者は答える。
しかし、県は開発段階で幹線道路があり、それを売りにした経緯があるのではないだろうか。となると市場調査と開発計画がずれていたことになる。この件に関しては最初の計画段階で商業施設関連業者と協同して開発に当たらなかったことは、まさに見切り発車である。テナントでも誘致ができないとわかっても住民にそのことは触れなかった経緯がある。「引き続き商業施設の誘致を進めます」と言いつつも、担当者からいただいた資料のその場所には「住宅・施設等用地」の文字が空しく並行して記載されている。約1年たって現在の解決策はこれだけは心もとない。
松陽台の住民がもっとも怒りを露わにしていた「県営住宅」問題である。これは約300戸の県営住宅の建設を住民に十分に説明せず、しかも強引に話を進めていた案件だ。「コストは上昇しますが、景観上を考慮して民間によくある戸建て住宅に似たつくりの住宅の建設を計画し、一戸当たり約70m2を予定しています」とのことだが、結局のところ住民の怒りをよそに建設する予定ということだ。外観の変更など小手先を変えても、今まで行なってきた住民無視の悪行は県への不信感を募らせるばかりだ。
県は説明会を2、4、8月と今年3回実施したと言うが、住民側は「説明不足」とバッサリ。「ボタンの掛け違いがあったかもしれない」と県は釈明していたが・・。住民からすれば説明とは裏腹に、計画は強引に進められて、方針発表まで県や公社からの相談は一切なかったとのことである。詳しい説明を求める地元住民らに対し、県側はのらりくらりと対応を引き延ばし、騒ぎが始まって現在に至るまでも満足な回答さえ寄こしていないという。これでは住民の怒りの声が上がるのは無理からぬ話だ。
1年たっても鹿児島県の体質はなんら変わっていなかったということだ。
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