<しなやかな戦略の展開で企業内容の充実を深化>
お客のニーズ・思考が大変革している。『アンピール福岡東』の売り出しで気付いたことだ。購入者年齢は30代が大半だ。彼らの大半が、新聞を購読していないことが判明した。そうなると、新聞に折り込みチラシを入れても潜在顧客に完全に届かないことを認識できた。であれば、確実に届けるにはダイレクト配布しかない。社員や取引業者にお願いし、さらにポスティングのプロに頼むようにした。律明社長曰く、「1つひとつの業務活動のなかから問われる問題点を、ピックアップする社風を徹底化していくことが肝要です。そのためには、徹底した全員参加の討議が必要となります。討議を繰り返していると、必ず無駄なロスを発見します。ロス退治ができれば、自ずと利益が転がってきます」。なかなかしなやかな経営思考の持ち主だ。
『アイランドタワースカイクラブ』を売り出す際には、派手なTV・新聞広告を打ってきた。「しかし、よほどの200戸くらいの大型物件以外には、過去の販促手法は通じません。お客さまは、必ずネットを通じて弊社を調べていらっしゃいます。ですから、HPの充実が緊要の課題になってきます。HP・ネットへの投資には集中し、有能な人材も確保することに専念する意向です。きめ細かくお客さまの動向をキャッチしながら、対応していきたいと思います」と、緻密な経営戦略を披露する。二代目・律明社長からは『データ重視の経営』の意気込みが感じ取られる。
『「相談できる」総合不動産企業』を目指している同社の経営戦略は、多角化である。兌会長時代のように、『マンション供給400戸、500戸』といった量の追及優先の方針は選択しない。多角化・バランス経営に徹する。同社の関連会社には、新栄総合管理(株)がある。この会社で、毎年、確実に管理物件を増やしていく。リニューアル・リフォーム案件もこなしていく。この会社でも、6,000万円の利益を計上する手堅い業績を上げている。
企業体質の強化の最善策は、賃収入を増やすことである。機会があれば、売りビルの購入には乗り出す。現在、賃収入は年間6・5憶円あるが、これを10億円に増やすことを当面の経営目標数値にしている。
また、同社が企業体質を強化するために掲げている戦略としては、『顧客生涯価値の向上』がある。これは、これまで「より良いものをより安く、健康を思いやる住まい」を提供し、良質なマンション管理にて顧客の資産を守ることに注力してきた同社が、「さらに皆さまにできることはないか」と考え、それぞれの生活環境の変化に対応したサービスの提供に力を入れることにしたものだ。具体的には『仲介事業と賃貸管理業』、『リフォーム事業』の2つを打ち出している。どちらの事業も、「アンピールマンションの新栄住宅さんだから安心してお願いができる」という、兌会長がこれまでに築き上げてきた「アンピールブランド」の強みを最大限に活かしたもので、これらがさらに同社を不況に強い体質へと変化させている。
お客ニーズを先取する経営手法を重視する新社長・木庭律明氏は、次世代のトップを走る経営者の1人になるのは間違いない。一歩、一歩、企業内容の充実を怠らない経営姿勢には、死角はない。同社の第二期事業繁栄のスタートは、今、踏み出されたのだ。
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<COMPANY INFORMATION>
■新栄住宅(株)
代表取締役会長:木庭 兌
代表取締役社長:木庭 律明
所在地:福岡市中央区大名2-11-25
設 立:1970年2月
資本金:9,600万円
TEL:092-762-7711
URL:http://www.empire-mansion.com/
<代表者プロフィール>
木庭 律明(こば・のりあき)
1969年、福岡市生まれ。東福岡高等学校卒業。日本大学文理学部卒業後、東京にて不動産会社に勤務。帰福後、不動産受託・管理・保守・点検業務経験。95年5月に新栄住宅(株)に入社。主に開発畑を歩み、01年4月、取締役開発部長。04年10月、副社長に昇格。11年6月、代表取締役社長に就任。
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