<全国初のユニークな取り組み>
神奈川県川崎市の宮前区(人口約22万人)が、音楽のジャンルであるヘヴィメタルで町おこしをしようとユニークな取り組みを始めた。宮前区の30周年を記念して、何か盛り上がるイベントをやろうとアイデアを募ったところ、若手職員から「ヘヴィメタを町おこしに活かしてはどうか」というアイデアが出て、「宮前重金属発掘計画」を発動した。
18日には、石澤桂司区長らも参加し、「ヘヴィメタルで町づくりは出来るのか」を真剣に探るメタリックフォーラムを開催した。プロジェクトリーダーである映画監督の井上秀憲さんは、ヘヴィメタバンドのセックスマシンガンズのシングル「雨の川崎」のプロモーションビデオを撮ったことが縁で、このプロジェクトに関わることになった。「町の人からはヘヴィメタルなんか持ちこんで来るんじゃない(笑)とか思われるかもしれませんが、一つの音楽のジャンルと、宮前がコラボすることで、多くの人に宮前を知ってもらって、来てもらうことができれば、街も盛り上がると思う。町おこしができるかどうか、少しずつでも前に進められたらと思います」と語った。石澤区長は「行政だけではできない。予算もそんなに多くは出せない。トライしてみようということでスタートした。民間の事業者、区民がうまく絡み合えばいい試みになると思う」と、"低予算"を公言しているこの計画での区民の参加を呼び掛けた。
<あえてマニアックなヘヴィメタで勝負>
独自性を打ち出し、宮前区に興味を持ってもらうために、あえて、誰も目を向けなかったヘヴィメタを選択。プロジェクトに関わるセックスマシンガンズのメンバー・ANCAHNGさんは、1月にリリースした「雨の川崎」などで川崎市との関わりが深い。宮前区からヘヴィメタで町おこしをという企画を持ちかけられた時、「ありえない」と思ったという。「正直、無理だと思いました(笑)。ヘヴィメタは、悪く言えば中毒性が高く、誰にでも取っつきやすい音楽ではない。マニアック性が高い。ただ、20年以上、ヘヴィメタをやってきたので、何とかうまくいくように協力したい」と語った。
地域行政と、ヘヴィメタのコラボ。宮前区では、ヘヴィメタ精神(一つのことを追求する精神、限界に挑む熱い魂)を持っている地域の人材発掘にも力を入れる。一見、「ありえない」このコラボ。その突拍子のなさが、地元メディアなどでも取り上げられ、ヘヴィメタファンだけでなく、そのありえなさをおもしろいと思った宮前区民を広く巻き込む兆しを見せている。
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