渡辺信一郎氏はマニフェストで5つの提言を行なっているが、総体的に見たときに、もっとも大事なのは「景気回復」だとする。「鹿児島市の税収を大事にするためには、地元企業の発展を、行政が徹底的にサポートしなければいけない時期に入ってくると思います。私は元民間企業経営者という立場から、行政に何をしてほしいかというのはよくわかっているつもりです。私の夢は、世界的な企業や人材を鹿児島から輩出することです」(渡辺氏)。
そのためには財政再建が必要だとする。渡辺陣営が訴えるのは、市の財政があらかじめ市債=借金を予算に組み込み「見せかけの黒字」決算を続けているということ。2010年度決算で、歳入から市債284億円を除いた実質210億円の赤字を解消することが、これからの成長戦略に不可欠だという。
また、観光面でも不安要素がある。観光とインフラで鹿児島経済を支えてきたいわさきグループだからこそ、「九州新幹線が全線開通して昨年は県全体で経済的に潤いましたが、今年6月から10月までは前年割れの数字となりました」(岩崎芳太郎氏)という事実に危機感を覚えている。
ちなみに、鹿児島県知事選で善戦した向原祥隆氏は、「渡辺候補とは中学、高校の同窓生で、私が知事選に出馬したときも東京で友人を集めてくれて、わざわざ鹿児島でも応援してくれたという縁もあって、今回応援しています」という。向原氏は「県の中心都市である鹿児島市の力で川内原発の再稼働を許さない"原発のない社会"」を目指している。
三者三様、選挙に臨む姿勢はさまざまだが、今回立候補した3氏とも、「鹿児島市をより発展させたい」という想いは同じだろう。問題はその手段と実現可能性だ。いずれにせよ、投票率が低ければ現職有利なのは間違いない。それが鹿児島市民の選択ということだろうが、今一度、市民は自分が住む町のことを真剣に考え投票することが第一だろう。すべては11月25日に決する。
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