<クリエイティブシティ戦略>
経済全体に閉塞感のある今、文化芸術、音楽、映画、お笑いなどクリエイティブなものを産業として発展させることが経済活性化に必要となってきている。川崎市のお隣、横浜市では、アートなどを積極的に支援し、都市づくりに活かす文化芸術創造都市政策を推進。文化芸術活動を行政が積極的に誘導することにより、新しい産業の育成や観光資源の発掘、都市の活性化を図っていく構想を前面に打ち出している。このような取り組みは、クリエイティブシティ戦略と呼ばれる。
自治体が、アートなどの作品を製作できる場を芸術家に提供する。芸術家が集まり、その場所で製作した作品を売ったりすることで、地域の税収アップにつながる。アートや音楽を軸に、地域の個性、創造性を高め、オンリーワンの都市を目指していくという戦略。現代アートで地域を再生、活性化させた香川県の直島もこのクリエイティブシティ戦略の成功例と言える。
今後、地方の都市を活性化させるにあたって、文化との絡みは欠かせないものとなっていくだろう。
<「ありえない」から「おもしろい」>
とはいえ、宮前区の選んだヘヴィメタルは、オリジナル性にあふれすぎている。この試みは、うまく軌道に乗るのかどうか。宮前区では、来年2月に、ヘヴィメタルのバンドコンテスト「宮前メタルフェスティバル」を開催予定。宮前区の選んだ、ヘヴィメタルという傍から見ればありえない選択肢は、吉と出るのか。しかし、ありえないからおもしろい。全国でも類を見ない珍しい町づくりの事例になる。
石澤桂司宮前区長は「初めてこの企画のことを聞いた時は『何だ、それ?』と思いましたが、インパクトがあっておもしろいと思って推進していきます。川崎市のほかの区には、フロンターレ川崎のホームスタジアム・等々力陸上競技場(中原区)や藤子・F・不二雄ミュージアム(多摩区)など集客力のある施設がある。宮前区には、いい住宅地はあるのですが、集客には欠ける。地味な街から情報発信をしていければと思います」と、意気込みを示した。
全国初のユニークな試み。隠れファンが多いのも、ヘヴィメタの特長だと言われている。川崎市宮前区は、その潜在的な市場、人材を掘り起こすことができるのか。
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