福岡・大分地区で冠婚葬祭業を営む(株)ラックは、2012年、設立45周年を迎えた。ブライダル部門では、結婚式場「RITZ5」が個性的で多様な要望に応えるサービス提供で、高い集客力とリピート率を誇っている。福岡最大級のフロア面積を有する結婚衣装店「レイジーシンデレラ」は9月リニューアルグランドオープンした。典礼事業(西日本典礼)では、福岡・大分に27斎場を持ち、人間の死の尊厳にふさわしい最後のお別れの時間を提供している。同社の事業のうち典礼事業について、柴山佳夫専務取締役にお話をうかがった。
<お世話になった感謝の念で故人を送る>
「葬儀は文化の集大成」と言われ、日本文化が凝縮しているので、やっていることはどこも同じ内容だと柴山専務は言うが、葬儀に立ち会う姿勢には違いを感じさせる。
「長年生きてこられ、戦争もあった、苦しいこともあった、本当にお疲れさま、あの世でゆっくりしてくださいね、と祈りの気持ちで立ち会うように社員も心がけていると思います。葬儀社は祈りと感謝がなくなったら終わりです」と、柴山専務は語る。
日本人の死亡者数は03年に年間100万人を超え、現在およそ125万人になり、今後も増加傾向が予想される。一方、葬儀の簡素化・小規模化、葬儀単価の減少があり、市場規模は緩やかな拡大にとどまっている。しかも福岡には、全国規模の大手が参入し、競争も激化している。市場・業界は厳しい環境にあるが、同社は「最後のお別れのセレモニー(儀式)」という葬儀の基本を見据えて、足元を固めて進んでいる。
柴山専務は「お葬式は、生きてこられた方の最期のセレモニー、儀式です。お世話になった方への告知であり、遺族らからの感謝の念を表すものです。日本の場合、肉体としての故人はお葬式のときには現存していて、火葬したら消えてもうそこにはいない。亡くなられた人は本当に思い出の彼方に行ってしまう。お葬式のときは故人は目の前にいて、お別れを言える最後のチャンスなのです。残されたご遺族の方が、亡くなられた故人と密に過ごすことが一番大事だと思います。ご遺族が故人と接する時間を多くしたい」と語る。
「火葬場での予約時刻から逆算して、葬儀が終わるのは何時、それにはお焼香は何時、葬儀の始まりは何時にする」と流れ作業のようにタイムスケジュールが決まってしまうことに対し、「反省を込めて言うんですが、そういうのは嫌なんですよ」(柴山専務)。
| (後) ≫
<COMPANY INFORMATION>
■(株)ラック
代 表:柴山 文夫
所在地:福岡市博多区東比恵3-14-25
設 立:1967年12月
資本金:6,575万円
TEL:092-473-0101
URL:http://j-lac.com/
<代表者 Profile>
柴山 佳夫(しばやま・よしお)
熊本市生まれ。熊本大学法科卒業。西日本銀行に入行を経て、(株)ラックに入社。2010年から専務取締役を務める。趣味は、美術刀剣類鑑賞。
※記事へのご意見はこちら