(株)ディックスクロキが復活した――。投資家に賃貸マンションを販売するビジネスモデルで成長を遂げ、上場を果たした福岡を代表する企業が再び始動する。サブプライムローン問題で世界金融危機が起きた2008年に民事再生を申し立ててから、丸4年を迎えた11月14日、新生(株)ディックスクロキを設立登記した。代表取締役の黒木透氏(57)(=Dipro(株)代表取締役)は、復活への一歩をまた前に進めた。
<賃貸経営コンサル、オーナー重視の原点回帰>
(株)ディックスクロキの知名度は、今でも抜群だ。若い経営者も「ディックスクロキの黒木さんですか」と一目置く存在だ。上場当時には、「ディックスに続け」とばかりに、福岡の地場企業から何人もの経営者が上場に挑んだ。
今年8月、旧ディックスクロキの賃貸管理事業の譲渡を受けたDIXが社名変更し、オリジナルロゴも廃止するというのを機会に、それならばDiproグループとして、旧ブランドの知名度を活かした事業拡大を計画した。
新生ディックスクロキは、賃貸経営に関するコンサルティングに集中する。黒木社長は「もともとコンサルで事業を始めた」と、原点回帰だと力を込める。
旧ディックスクロキは、黒木社長が独立して起こした「黒木事務所」が前身だ。不動産コンサル業を中心に、地主に対して利回りの良いアパートを提供。黒木社長の「立地条件の選定の目、物件のデザイン力、建築管理能力」がお客の信頼を勝ち得た。当時を知る人は「家主さんへ儲けさせてあげるという使命感が、ずば抜けていた」と、オーナー重視の姿勢を評価する。1991年3月、(株)クロキビルディングとして法人化し、97年に商号変更した後の成長ぶりは、「朝寝坊したい?引越しのチャンスです」(OLの言い訳)などの人をひきつけるテレビCMとともに、記憶に残っている方も多いことだろう。
黒木氏は、民事再生後の09年2月、収益ビルの供給と管理を事業内容とするDipro(株)を設立し、代表取締役を務めてきた。昨年度、不動産売買取扱高年間12億2,000万円、賃貸管理戸数600戸を達成。今後は、ディックスクロキを含めたDiproグループとして、当面取扱高年間20億円、賃貸管理1,000戸を目標にする。
「賃貸管理については、管理料は大体5%と業界のルールがありますが、大きなビルと小さなアパートが同じというのもいかがなものかと、規模の大きさによってディスカウントできるシステムを考えてきました。メンテナンスにしても、清掃とか含めた維持管理費を他社よりも安い価格で提供できる実績を積んでいます。生命保険の保険料比較の『比べてみませんか』と同じように、規模や戸数などに応じて価格を比べられるようなサービスを提供しています」(黒木社長)。
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