＜過酷な事務処理に追われ心臓病に病む＞
　11月８日（木）から11日（日）の福岡の通りは、外からの来客で溢れていたことに気づいた人も多かろう。ホテルも満杯、レストランも混雑していたし、外人客が巷に闊歩していた。黄色のブレザーを着た集団を目撃した方々も数多くいたはずだ。わかりやすく言えば、【ライオンズクラブアジア大会】（正式名称は【第51回OSEALフォーラムin福岡】）が福岡で開催されていたのである。残念ながら、一般の市民には認知度が少ないのが現実だ。

　この【ライオンズクラブアジア大会】の事務局長を、３年間務めた山崎広太郎氏（元福岡市長・現福岡博多東ライオンズクラブ会長）に取材した。同氏は３年間の準備作業が激務のために、過労により心筋梗塞で倒れたこともあった。大変な激務であり、ストレスも溜まったのであろう。

　「いろいろな問題点・課題は残りましたが、終わりよければすべて良しです」と開口一番の返答だ。「登録者数17,500、参加者13,000人、アジアからも少なくとも3,000人は福岡に来ました。この経済効果は馬鹿になりません」。たしかに2011年マニラ大会、2010年台湾高雄大会を凌駕したのは間違いない。

＜領土問題が悪影響＞
　ライオンズクラブの精神は、≪世界は一つの絆≫をモットーにしている。しかし、現実は尖閣列島・竹島の両問題がライオンズクラブにも悪影響を与えた。参加を予定していた中国の参加者たちは、急遽キャンセルしてきた。加えること、韓国・台湾の大量の参加者が期待されるところからも「すべて欠席」という情報が流れたときには、何事にもたじろくことのない広太郎事務局長も、さすがに顔面蒼白になったらしい。実際には、２国は従来の大量動員を行なってくれたことで一安心した。「今後、国家間の対立が激化する恐れがあります。だからこそ、国を超えて【ライオンズパーソンの結束】が重要になってくるのです」と強調する。

　「反省すべきは多々あります。第１は事務局、担当専門部会の会議情報を的確に各クラブへ流さなかったことは、後悔の一言です。第２はJCの組織は、下からボトムアップして全員を巻き込んでいきます。今回のライオンズの運営は、トップダウンでした。このトップダウンが徹底されていれば問題なかったのでしょうが、中途半端でしたので、一般ライオンズメンバーを巻き込めなかったのです。第３は対外的な広報活動・告知行動が弱かったことです」と総括諸点を整理する。こちらも平易に問題点が理解できる。

　苦労はしたが、「あの【開会式】に10,000人を超える参加者が群がる迫力を目撃したら、涙が止まりませんでした。３年間の蓄積されていた労苦も流され、肩の荷もなくなった軽くなったことに気づいたのです」と、感慨深く広太郎事務局長は振り返る。「動員は今一つでしたが、《地球環境セミナー》は意義あるものだったと評価しています。本当に加藤登紀子さんにはお世話になりました」と感謝の意を表す。

　広太郎氏が結ぶ。「４年後の2016年にはこの福岡で世界大会が予定されています。この機会に少しでも『都市福岡』を世界に売り込みたいものですね」。

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