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粉飾決算の代償は全株無償譲渡!(株)さかえ屋 元・代表取締役社長 中野利美氏インタビュー(2)
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2012年11月27日 07:00

<独自に立てた再建計画も潰される>
 さかえ屋が、西日本シティ銀行(以下、西銀)から3億円の融資を得たちょうどその頃、中野氏は子会社の製造部門である(株)グレアの売却を検討していた。事業売却によって、赤字を解消し、財務状況を改善するための試みであった。仲介業者を介して、具体的な売却先の検討にも入っていた。売却と同時に、人員削減などを行うことで、経営再建が実現できる見通しが整いつつあったという。

 2011年12月、「融資を受けている各金融機関に貸金の切り換えのお願いに行ったところ、ほとんどの金融機関は快く受け入れてくれました。ところが、西銀だけは切り換えに応じられないと返答。切り替えに応じる条件として、監査法人によるデューデリジェンスを受けることを強く要求されました」と中野氏は語る。

 当初は、デューデリを行うことを拒否していた中野氏であったが、専務C直々の強い要請もあり、最終的には、監査法人トーマツ(以下、トーマツ)にデューデリを任せることになった。

sakaeya_nakano.jpg このころ、中野氏が推し進めていた事業売却計画も順調に進んでいた。今年2月には、具体的な売却先も決まり、工場の視察にも訪れていた。グレア自体の当時の固定資産価値は10億円ほどしかなかったものの、仲介業者の試算では事業全体を20~30億円ほどの価格で売却できる可能性があったという。これが実現すれば、これまでの債務超過も一気に解消できるはずであった。ところが、西銀は3億円の融資の切り替えを盾にとり、中野氏の事業再生計画を阻んだという。中野氏は西銀の担当者Aに対し、自らの事業再生計画を説明したところ、「デューデリの途中なのにそんなことをしてもらっては困る!」「勝手なことをするなら、切り替えにも応じられない!」などと、罵声を浴びせられたという。メインバンクである西銀の意向に逆らえば、融資の切り替えに応じてもらうことができずに、会社を潰すしかない。そのような思いから、中野氏は、事業再生計画を泣く泣く断念したのであった。

<最後通告を受ける>
 その後、今年3月にデューデリの結果が判明。12億円の債務超過と、経常赤字9億円だった。西日本シティ銀行とトーマツは、中野氏に対して(株)さかえ屋が債務超過であることに加え、不明瞭な会計処理が行なわれていたことに言及。会計処理の責任を執拗に追求された中野氏は、西銀の意向に従って、社長職を退くことを決意した。だが、銀行側は中野氏の役員退任だけでは満足しなかった。企業再建のために私的整理を行ない、金融機関から債務をカットしてもらうことを提案。その条件として、創業者一族の総退陣と株式の無償譲渡を要求。西銀の審査部長B(当時)は「この条件を満たすことができなければ、今後の支援は一切できない。その場合、会社を倒産させるほかない」と中野氏に告げた。最終的に銀行側の要求を受け入れざるをえないと判断した中野氏は、西銀主導のもと、3月末で支払いを停止することにした。その際、西銀の指示により、他の金融機関に対する返済口座に入っていた預金は引き上げさせられ、西銀の口座に振り替えさせられた。そのうえで、何らの準備期間のない4月初めにバンクミーティングを開催することを各取引行に提案させられたという。

 中野氏は、このような過酷な決断を強いられるまで3月13日と18日の2度にわたって、西銀本店に呼び出された。その際の、西銀と中野氏の生々しいやりとりは次回記載することにする。

(つづく)

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