<2030年に人口減時代突入、他社にできないコンサル提供>
黒木社長は、「一般の仲介会社とか管理会社ができないことをやっていきたい。オーナーさんの悩みとか将来に対する考え方、相続対策などを聞いて、オーナーさんとのコミュニケーションを図る」と話す。
具体的には、土地活用の企画、賃貸マンションによる資産運用の提案、既存オーナーの売却や金融機関からの融資のリスケなどの相談に応じていく。
「管理や売買はうちでなくても結構ですよ。そこにいくまでのコンサルをしますよ」と言えるのも、コンサルに徹することにより、他の不動産会社とも連携していく考えだからだ。
同時に、外部のコーディネーターや内装業者、司法書士、公認会計士と一緒に、「賃貸経営セミナー」を開催していく。12月には第1回のセミナーを準備中だ。
黒木社長は、「右肩上がりが終わり、収入がことごとく減っていく。既存ビル自体が、一番良いときにつくったビルの家賃に比べて、3割くらい下がっている。入居率をどう高めるのか、オーナーさんがどうやって勝ち抜くのか、収入のかたちをオーナーさんに提供していきたい」と抱負を語る。
また、「2030年には日本全体で人口激減する。それまで賃貸ビルがどこまで伸びていくのか、郊外型が本当にいいのか、全部調べ上げています」と話す。スクラップ・アンド・ビルドはこれからどんどん少なくなってくるし、街中の中古物件のリニューアルはまだまだ進んでいくという。「建築費も、構造計算偽造事件以来、15~20%高い。新築でまともに元利金を払えるかというと、厳しいところがある」と、黒木社長は指摘する。
<揺るがなかった信頼「やっぱりディックスやな」>
黒木社長の時代を見る目、コンサルティングの力は、今もたしかなものがある。
すでに「支払いができずに競売にかかる寸前のお客さんを任意売却まで持っていった」など、新たな実績を積み重ねている。相続対策も大きな問題だ。といっても、「長生きする時代ですから、4~5年で亡くなられると考えたところ幸い20年長生きしたら、逆ザヤが発生します。要するに、亡くなられるまでの銀行の支払いが多くなって、借入金の元本が少なくなって、相続税が高くなって逆の効果しか出ない」と指摘する。「そのあたりをオーナーさんの事情をよくお聞きしながら、2030年をどう越えるかという難題に立ち向かい、オーナーさんのお役に立てるように、私の経験と蓄積をみなさんに提供したい」と語った。
「建てることが目的ではない。管理物件を増やすために建築を受ける」という、オーナーを大事にする原点を持ち続けていたからこそ、黒木代表への信頼は08年の民事再生でも揺るがなかった。黒木社長自身も「賃貸経営に関しては間違っていなかった」と今でも自負している。
原点に帰ることで生き生きとした様子が伝わってくる。「最後に一緒に笑って、『よかった』というオーナーさんの顔を見るのが楽しい」と笑いがこぼれる。
「4年前、オーナーさんには心配をかけましたが、迷惑はかけていないという気持ちを持っていますし、一般の不動産会社やゼネコンさんに迷惑をかけていないと思っています。人を裏切らないことはずっと続けていくし、自分が今この立場にあるのは誰のおかげかということを考えていく。オーナーさんの小さな悩みにも応え、『黒木が必要だな』という気持ちを抱いていただくよう、がんばっていく。3年後には『やっぱりディックスクロキやな』という会社に育てたい」と、黒木社長は"復活はまだ道半ば"としながらも、新たな目標を掲げ、復活への日々を突き進んでいる。
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