中国では、10年間の胡錦涛体制が終わり、習近平総書記の新体制に移行した。経済、政治と課題の多い中、どう変わるのか。中国でビジネスに携わる中国通に話を聞いた。
<貧富格差など問題山積み>
15日、中国共産党大会の第18期中央委員会第1回総会が閉幕し、習近平国家副主席の党総書記就任が決定。習総書記以下、李克強首相ら最高指導部の6人のメンバーも出そろった。02年に就任した胡錦涛総書記体制のこの10年では、経済発展と北京オリンピック、上海万博など華やかな中国を世界にアピールしたが、その裏では、「貧富の格差」「共産党の汚職による腐敗」など深刻な問題が浮き彫りになった。さらには、発展してきた経済成長の鈍化と、一党独裁政治体制の矛盾を抱え、中国共産党支配体制の山場の10年を迎える。
米英などのメディアは、経済的に影響力の増している中国とまともに付き合っていく必要性からか、一党独裁体制維持の困難さ、改革の重要性を指摘している。
発展し、肥大化した経済。経済大国となったはいいが、アメリカ、ヨーロッパ、日本などと国際的に円滑な外交を行なうためにも、政治的システムには改革を必要としている部分が見受けられる。
<周辺各国と領土問題抱える>
日本やフィリピン、ベトナム、インドなどアジアの周辺各国とは領土問題を抱えている。そのほとんどすべては、中国自らが作りだした問題だ。
習近平体制に移行し、中国は日本に対して、どのように出てくるのか。最高指導部のポストを巡る権力闘争では、政治改革派とは遠い元総書記・江沢民派が勝利したとの見方が強い。
北京、上海など中国でのビジネスに携わるある事情通は、「直前の権力闘争で、広東省で実績のあった改革派の汪洋氏(広東省党書記)の常務委員入りを沈めた。江沢民の弟子と言っていい習近平は、国家的な立場を貫くナショナリズムの方向に向かうのでは」と、語った。反日教育を始めた長老・江沢民氏の実質的な院政になると見られている。最高指導部の7人の中には、李克強首相以外は、江沢民元総書記の影響を色濃く残す。前述の事情通は「少し前までは革命前々夜か、との見方もありましたが、守旧派の江沢民派が巻き返したことで政治改革は遠ざかった。どちらにしても、日本にとっては甘くない」と、習近平体制発足で中国が対日強硬姿勢を強めてくることを示唆した。
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