――中国の習近平・次期体制は10年継続していくということで間違いありませんか。

　徐　間違いなく習近平体制は10年継続します。中国では、政治が安定しないと絶対に成長できません。日本とその点では少し違います。
　しかし、７人の内、習近平氏、李克強氏を除く５人は、５年後の第19回党大会の時点で内規である67歳を超えるので引退します。現在の政治局員から新しい常務委員が５人選ばれることになります。

　余り知られていないのですが、習近平氏は唯一軍服を着たことのある主席になります。清華大学を卒業してから、耿ヒョウ軍人委員会幹事長兼国防部長（防衛大臣）の秘書官を務めています。３年間軍服を着て仕事をし、父親も軍人出身であった関係で、軍の活動展開に習熟しています。地方にいた時は、土・日は軍人と一緒に過ごす日々も多かったと言われています。さらにいえば夫人は少将の肩書きのある軍隊歌手です。
　習近平氏は「中国国家主席」、「中共中央総書記」とともに、「中央軍事委員会主席」の職責を無理なくこなせる実力の持ち主と言えます。

　――新しく就任した「中南海トップ７」に関して、コメントをいただけますか。

　徐　集団指導体制に相応しい「実務派内閣」と言えます。薄熙来氏のような独走的なタイプは一人もいません。７人の職責の内訳は以下のようになります。

習近平： 国家主席、中共中央総書記、中央軍事委員会主席
李克強：国務院総理（外交、経済、社会）
張徳江：全国人民代表大会常務委員会委員長（日本で言うと衆議院議長）
兪正声：全国政治協商会議主席（日本で言うと参議院議長）
劉雲山：中央書記処常務書記（党幹事長）
王歧山：党規律検査委員会書記（幹部を監督）
張高麗：国務院第一副総理（経済担当）

　日本の一部の論評で、王岐山氏が経済担当から外れたことに異論を唱える話があると聞きます。しかしその報道は誤りで、７人それぞれが一番ふさわしい職責（適材適所）に配置されました。
　共産党の腐敗を糺していく党規律検査委員会書記のポストはとても重要な役割を持っています。そしてこのポストには王岐山氏がベストな選択です。
　経済担当になった張高麗氏は、深圳、山東及び天津を含む一連の沿海にある新興都市と繁栄省を管轄してきた市場経済実務のベテランです。

　総括していうと、この習近平・李克強体制には、以下の４つの特徴があります。
１．彼らはいずれも、青春時代に「下方」を経験し苦労しています。苦しさや辛さを耐える精神が備わっていることです。
２．全員が高学歴です。習近平氏（清華大学）、李克強氏（北京大学）は博士号を持っています。残りの５人も全て学歴が高いのです。
３．国際的視野を持っています。習近平氏、李克強氏はもちろん、他の５人も欧米の名門大学で研修や欧米各国を訪問・視察した経歴を持っています。彼らは、先進国の経済発展程度、科学技術水準並びに人民の実情等について、極めて早い時期から理解しており知識も豊富です。
４．いわゆる太子党出身者を含めて、基礎から一歩ずつ努力を積み重ね現在に至っています。一兵卒の社員から出発して社長になった方々です。それだけに、実地経験がとても豊富です。

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