<これからの不動産業者に必須なものは企画力>
2012年、日本政府は新成長戦略として中古住宅の流通事情、リフォーム市場などの環境整備を行ない、2020年までにその規模を倍増させる政策を打ち出した。以来、不動産業界は、新しいものを1つつくって大きく売る時代から、古い物件を1つひとつ新しくして売る時代への移行を求められている。「シフトライフ」という社名は、まさにこのような時代を象徴している。
少子高齢化という社会構造も、購買者ニーズの方向性に変化を与えた。高額の新規物件を積極的に買うのではなく、従来の住居を安価で快適につくり直すことへの魅力が注目され始めたのだ。新築には、何世代にもわたって使い続けられる家屋の創造が求められ、中古には新築同様の美しさが要求される。先行き不透明な経済状態下にあって、購買者は「安くて良いもの、そして自分たちのライフスタイルに合ったものを選ぶ」という眼を持つようにもなった。
このような現状を見て、樋口由紀夫社長は、「住まいは生きていくには欠かせないもの。『買わない』という選択肢はないとしても、賃料を払って住むより自分で所有した家に住むという充足感を大切にしていただきたいですね」と語る。ヨーロッパのように、手入れをしながら長年住み続けることができる住宅を提供していきたい、というのが樋口社長の考えだ。
購入者も、ライフスタイルに合わせて買う、という人が増えてきた。これからは不動産業者も、家族の構成が変化するのに合わせて、それぞれのニーズに合った企画や提案を行なっていけるようでないと事業が成り立たなくなる。柔軟性が必要だ。
しかし、今まで1つのやり方で高額かつ大きな物件を販売してきた業界が、急に方向転換するのは難しい。販売技術にも長年の経験の蓄積がある。なかには、営業経験を活かして販売先を広げ発展してきた企業もある。今は、樋口社長が不動産関係に関わり始めた88年頃に業界で活躍していた業者も減り、残っている企業は両手で数えるほどだ。時代の変化に淘汰されていく厳しい世界だが、うまく乗り切っていけば得る喜びも大きい。
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<COMPANY INFORMATION>
■(株)シフトライフ
代 表:樋口 由紀夫
所在地:福岡市中央区天神4-8-25 ニッコービル5F
設 立:2006年8月
資本金:1,000万円
TEL:092-791-6100
URL:http://www.shiftlife-corp.com/
<代表者 Profile>
樋口 由紀夫(ひぐち・ゆきお)
1956年5月生まれ。大分県日田市出身。80年、九州産業大学工学部建設学科卒業後、建築設計事務所に勤務。その後、福岡の大手デベロッパーを経て、06年に(株)シフトライフを設立。翌年、代表取締役就任、現在に至る。一級建築士、宅地建物取引主任者。趣味は大型バイクでのツーリング。
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