<不適切な使い方は改善されるのか>
東日本大震災からの復興を目指して、東日本大震災特別会計予算(復興予算)が編成されたはずだが、復興には直結しないところに使われたり、被災地では中小企業の倒産が相次ぐなど予算の有効な使い方ができていない。被災地のニーズに応えることができていないのは明らかだ。最短距離で復興に向かう効果的なお金の使い方をすべきだが、各省庁で予算の取り合いになるなど、日本の中央省庁の構造的問題点が露呈した。
16日に行なわれた新仕分けの議論を経て、政府は、計上された35事業168億円の予算執行を凍結し、13年度以降は、被災地向けに限定。改善されてきているとはいえ、予算を「復興のためにうまく使っている」とは言い難い。斎藤やすのり前衆議院議員ら超党派が10月に立ち上げた「復興予算奪還プロジェクト」では、復興予算のこれまでの使われ方を、『合法ではあるが非常識。災害から立ちあがろうとしている被災者への支援は不十分』と痛烈に批判している。
復興という名のもとに予算を組んだのは評価できるが、その使われ方は、最低レベル。なぜ、このような流用と呼んでもいい使い方がまかり通ったのか。今後、復興予算の使い方は、改善できるのか。
<各省庁での奪い合い>
復興予算、5年間で19兆円。霞が関では、異常な熱気のもとに、このパイを奪い合った。直接、復興とは関係のなさそうなことにでも何とかこじつけて予算を獲得しようと、沖縄県の国道工事や国立競技場の補修などにも計上された。客観的に、良心的な国民の視点、被災者の目線で見た場合、「目的外使用」であるのは明らかで、間接的に復興と関係のあるものであったにせよ、「転用」のそしりを受けても仕方がない。
被災地では、まだ瓦礫が完全には片付いていない。漁業、農業など稼ぎの場を失った被災者の雇用対策、中小企業の倒産の増加、福島県の放射能除染など、深刻な問題が山積みになっている。不適切な使用をしている場合ではない。
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