中国や台湾を拠点に、アジア各国を渡りながら取材活動を続けるフリージャーナリストがいる。現地のマスコミに精通する彼が、日本との文化の違いを感じながらも、アジアならではの面白さについて、リアルにレポートする。
挑戦型番組、かつての「風雲たけし城」、進化形では「サスケ」のような番組が中国では少なくない。公園やレジャー施設とタイアップをして、施設内の湖やプールを使って、セットが組まれる。様々な関門が設けられ、時間内にゴールに辿り着いたらクリア。時間内に辿り着かない、あるいは、水に落ちてしまえばアウト、というルールだ。
湖南電視台の挑戦型番組。収録場所は、長沙・月亮公園。湖南電視台のすぐ側、公園のなかにある湖に大規模なセットが組まれていた。毎週土曜、日曜はセットが準備され、番組観覧は長沙観光の一つの名物となっているという。挑戦者は基本的に一般人だ。日本では一般人参加型も番組が大幅に減少している。
出場者控室は熱気がムンムンだ。純粋に関門をクリアしたいと思っている人間もいるが、関門のクリアよりも、スタート前に司会者と行なう会話、パフォーマンスに力を注ぐ挑戦者も多い。派手な衣装をまとったり、上半身裸にペイントしたりする若者の姿もあった。
挑戦者受付所では、パスポートのコピーを取られたあと、4枚の書類に、サインをさせられる。内容は「ケガしても、自己責任で一切責任を取らない」というものだ。他の関係者は「局として責任は取らないが、収録では、よく救急車で病院に運ばれている」と話す。高いところから落下して水面まで行けばよいが、運悪く下方のセットに当たってしまうケースなどもあるようだ。ケガは骨折、打撲の類が多い。
日本でも、挑戦型番組は存在するものの、一般人が参加できるものは減り、タレントがチャレンジするものがほとんどである。一般人参加型の減少には「プライバシー保護」の重視という背景があり、さらに挑戦型番組になると「一般人がケガをした場合」の処置が難しいという点にある。中国のように「局は一切、責任を取らない」という書類に事前にサインをさせる方法もあるが、それでも参加してケガをした、となればその情報はこのご時世、あっという間に世間に広がっていく。事務所がバックにあるタレントを挑戦者として起用する方が情報管理の面でも、リスクが防げるというわけだ。
※記事へのご意見はこちら