<調整役にとどまる復興庁>
宮城県の村井嘉浩知事から「復興庁ではなく、査定庁」との批判を受けたこともある復興庁。その役割は、「事務を内閣官房とともに助ける」「企画立案・総合調整」となっている。執行の権利を持っていない。
復興予算に関しては、調整するだけではなく、各省庁を取り仕切る権力を持ってよかったとの声もある。復興庁が、もっと主導権を持ち、スピードアップを図る手はないのか。現在は、英断する役所というよりも調整役にとどまっている。
復興庁の予算会計担当者は、「2月から復興庁がとりまとめて調整していますが、バラバラにやっているよりもだいぶいい。もっと権力を持った方がスピードアップできるのではという意見もありますが、何でもかんでも執行するわけにはいかない。どこまで権限を持っていいのか、微妙なバランスのとり方が難しい。国会で指摘を受けて、使い方を見直し、少なくとも13年度の予算に関しては、直接的に東北の被災地で使うようになる。被災地の要望も聞きとるように態勢を整えている」と説明した。
<「被災者主権での予算の民主化」>
復興予算がスムーズに使われずに、復興が足踏みしている理由には、人手不足もある。被災が広い自治体に及んでいるため、現状の把握とニーズの聞き取りも、うまくいっていない。復興庁の担当者は「現場は最善を尽くしてやっています。予算を執行するのは地方の自治体になりますが、業務量がとんでもない量に上る。人材を派遣し、改善策を打ってはいますが、特に福島県に関してはスピードが遅くなってしまっている」と、被災地の要望に応えられないままになっている。
復興庁は、被災地に本部を置き、被災地で決めるべきではなかっただろうか。被災地に本部があれば、被災地の現状、解決しなければならない問題点を把握しやすく、柔軟に、どのように改良すればいいかのアイデアも出やすい。まだ"オールジャパン"とはなりえていない。
超党派の議員による「復興予算奪還プロジェクト」の緊急提言では、『被災者主権』による『予算の民主化』を一歩でも前進させると宣言している。総選挙後、新政権下での復興のスピードアップ、被災地のニーズに合った形で復興予算が適切に使われることを願う。
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