＜ネット通販事業は武士事業と批判されたが実体は＞
　樋渡市長は常に本音を語ってくれる。「10年前であればこんなに全国に認知を受けられることはなかった。インターネットのインフラ導管がこれだけ普及したことで告知が容易になったから【武雄の存在】をタダ同然で宣伝・告知ができた。このインターネットを活用したそれぞれの自治体宣伝できない首長は失格だ。私はさらに一段、スキルアップしてフェイスブックで【武雄の特性】を伝えていく」。

　インターネットで自分の行政紹介をするだけではない。インターネットを通じた通販にも力を入れている。武雄市の名産を全国に売り込む目的で始めた。開始当時は「役所商売、武士商人で通販ビジネスが成功するか！！」と批判され、陰口が叩かれていた。ところが現実はどうか。地元の企業が武雄市通販サイトに続々、参加するようになった。他地区の業者からも「よそ者ですが、利用させてください」と懇願してくる事態にまで発展した。

　他の自治体からも研修に押しかけて来た。「これは町起こし、村の活性化になる。地元の事業家達が自信をもてばこんな嬉しいことはない」と直感したのであろう。集まる集まる。はや20自治体がネット通販サイトの同志になったのである。樋渡市長いわせれば「近々、200自治体が加わってくるであろう」となる。地元の名産品を日本市場に限定する手はない。自ずと海外へ目が向く。シンガポールの富裕層へネット通販の売り込みへ挑戦することになった。樋渡市長の視線は「アジアへ、世界へ」である。市場が拡大されることで地元企業の可能性は無限になる。結果として武雄市には自立した企業群が育つであろう。

＜樋渡市長の狙いは武雄市の成功モデルを全国区へ＞
　樋渡市長に最初にお会いした際に「あはたのような首長が全国に何人いたら日本は変革されるか？」と質問した。「私と同等のクラスが100人出現すれば地方から日本をチェンジできるのではないですか」と核心回答が戻ってきた。樋渡市長は強かな陰謀（悪い意味ではない）を常に巡らしている。それは非常にリアルティである。各自治体にある企業が儲からなければ地元が潤うことはあり得ない。自立変革は到底、無理だ。

　武雄市が牽引車になってネットを活用して無限の市場に打ってでる通販システムを構築する戦略の真の企みは200自治体の同盟軍の結成である。まずは地元の企業が儲けて雇用を増やす。そうなれば人口が増える。自治体の収入の増収（租税の増加）になる。そうすれば各自治体は元気になっていく。樋渡市長の首長としてのミッション【人口増と税収増】を実現できれば地方から変革のうねりが生じるのである。【100人の首長の登場】を、待機主義的に時間を費やすのでなくネット通販同盟軍【200自治体の連合体】の結成を意図的に布石を打っているのは見事だ！！

　「『５万人の田舎都市武雄市が成功しているのだ！！我々にもできないことはない』という自信と確信を与えれば地方から腐った国家を包囲して根元的な変革が可能になる』という実現かできる戦略に命を賭ける気概を密かに抱いている怪物市長なのだ。

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