厚生労働省は12月12日、職場のパワーハラスメント実態調査の報告書を公表し、回答のあった企業のうち過去2年間に「パワハラがあった」とする企業が32%だったことがわかった。調査は、今年7~9月にかけて、全国の従業員30人以上の企業1万7,000社と、企業・団体に勤務する男女20~64歳の9,000人を対象に実施した。企業4,580社、従業員9,000人から回答があった。
従業員側の調査では、過去3年間に「パワハラを受けた」とする回答は25.3%だった。パワハラ経験者の46.7%は「なにもしなかった」と回答し、社内相談窓口への相談は1.8%と極めて低かった。
また、従業員の相談窓口を設置している企業は全体の73.4%あったが、従業員99人以下の企業では4割未満だった。
パワハラが発生している職場に共通している特徴として、「上司と部下とのコミュニケーションが少ない」(企業の51.1%が回答)でもっとも多く、ほかには「残業が多い、休みが取り難い」(19.9%)、「失敗が許されない、失敗の許容度が低い」(19.8%)があげられる。
パワハラの予防・解決は近年、経営上の重要課題になっているが、企業調査でも全体の8割が同様の認識を持っていることがわかった一方、予防・解決に向けた取り組みをしている企業は45.4%だった。従業員99人以下の企業では、18.2%にとどまった。
具体的な取り組みとしては、効果の実感が高かった「講演や研修」は企業別で実施率に差が出た。従業員1,000人以上の企業では、約8割が実施している一方、同99人以下では約41%と過半数を下回った。
報告書は、パワハラを予防・解決する取り組みを進める視点として、相談窓口が活用される仕組みづくりなど企業全体の制度整備、職場環境の改善、職場でのパワハラへの理解促進をあげている。また、労使での話し合いが、取り組みを進めるうえで共通のポイントにあげられている。
▼関連リンク
・厚生労働省報道発表資料「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」の報告書
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