12日夕、福岡市役所の前に、福岡1~3区の新人候補が出揃い、安倍晋三総裁を迎えての街頭演説を行なった自民党。聴衆は交差点を挟んで密集。安倍氏の前に行なわれた新人候補の演説に拍手を送った。そして安倍氏の登場に聴衆からは声援が巻き起こった。2009年の衆院選で政権を失ったことを反省し、「理念を見つめ直し、政策を鍛えてきた」「私たちの政権公約にはできることしか書いていない」と、安倍氏は演説を始めた。
安倍氏の演説は、経済政策と外交・安全保障に力点がおかれた。まず、経済政策では、「2%の物価目標を設けた金融緩和などの政策でデフレ脱却・円高是正」とし、「やるべき公共投資」として学校の耐震化、老朽化したトンネル・橋の補強をしていく方針を述べた。また、成長戦略としては、医療・介護・看護における技術の海外進出を促し、「健康で長生きできる人生を勝ち得て、それによって経済を成長させていく」とした。
同日朝の北朝鮮による事実上のミサイル発射については、「制裁を含む厳しい決意を求めていくべきだ」とし、合わせて、拉致の被害を受けている日本独自の経済制裁の必要性を訴えた。また、藤村修官房長官の「早く打ってもらったほうがいい」との問題発言について、「呆れて物が言えない」とし、「(野田首相は)決断するのであれば、(北朝鮮が)ミサイルを発射する前にこの官房長官を辞めさせるべきだ。国の威信によって食い止めるべきだった。残念ながら、民主党にはその意思も能力もないということが判明した」と切り捨てた。
街頭演説冒頭、司会を務めた同党の地方議員は、マスコミの「自民党優勢」との報道を否定し、「勝負はこれから」として聴衆にさらなる支持の拡大を求めていた。「すべての国民にチャンスがある日本を取り戻していく」(安倍氏)と政権奪還を目指す自民党。上げ潮ムードに気を緩ませることなく、大詰めを迎えた選挙戦に同党各陣営は気を引き締めて臨んでいる。
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