<地方都市とは一風違った迷い方>
無党派層が最も多いと言われる東京都。若年層の票の行方が勝敗を大きく左右しそうだが、都心の若者たちの多くは「まだ迷っている」のが現状。東京23区では、人口の密度に合わせて、細かく選挙区が区切られている。新宿区と千代田区と港区(東京1区)、中央区、文京区、台頭区(東京2区)、渋谷区と中野区(東京7区)、杉並区(東京8区)、豊島区と練馬区の一部(東京10区)など地理的に言えばそれほど離れていない地域に多くの選挙区があり、自転車で30分もあれば4~5つの選挙区を回れるぐらいだ。
各選挙区の顔となり、地域に密着した政治家の多い地方都市とは少し違う。さらに今回は、大小12の政党が入り乱れ、「誰が自分の選挙区の候補者なのかわかりにくい」というのが都心の有権者の悩みでもある。
会社や大学のある場所が、自分の選挙区と違うというケースはよくある。「中野区在住ですが、会社のある新宿区で選挙カーをよく見かける」(30代男性)、「今のところ、大学のある東京1区で出馬している候補者の街頭演説しか聞いていない。でも投票するのは東京18区」(20代男性)ということもまれではない。
<小選挙区制の問題点もちらり>
新宿区在住の30代の男性は、「隣の選挙区には、投票したいと思った候補者がいるんですけど、自分のところの選挙区にはいない。結局、誰に投票したらいいのか...」と話した。仮に近くに住んでいても、選挙区が違えば、「これだ!」と思った候補者に必ずしも投票できるわけではない。小選挙区制のはらむ問題点もちらりと垣間見える。
静岡県出身で、都内の大学に通っている20代の男子大学生は、「通学の途中など出先で街頭演説をやっていたら聞くようにしているのですが、隣の選挙区が近すぎるからか、誰が自分の投票できる選挙区に出馬している候補者なのかわからなくなった。このまま政策や人柄がはっきり分からないまま選んでしまっていいのか...」と苦笑。京都府出身の20代女性は、「京都の方だと、誰がどの政党に所属しているかというのが大体はわかるので混乱することはないけど、とくに今回は選挙直前で政党の離合集散があったので迷っています」と話す。
宮崎県出身の30代男性は、「東京に出てきてまだ2年で、今回が初めての選挙。宮崎では、こちらに比べて選挙区が広いし、長くその選挙区で出る人がほとんどなので、候補者の経歴も分かりやすかった。今回は各候補者のこれまでの経歴を全然知らないので調べてから投票します」と都心ならではの悩みを語った。
小選挙区ではとくに、若者たちの決断で結果は大きく変わる。彼らは、迷った末に誰を選ぶのか。
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