<政治への不信感も>
若者たちの間には、政党の掲げるマニフェストや政治への不信感も漂う。「演説や政見放送などでは、みんなすばらしいことを言っている。でも、どの候補者が、きちんと言ったことを実現するのか。それがわからない(苦笑)。投票する政党も、以前は橋下さんの維新の会に期待していましたが、石原さんと一緒になって結局、どう変わったのか、よくわからなくなってしまいました」と30代の男性。「今回の投票率がどうなるかまだわからないけど、若い人がもっと選挙に行くようにしないと。今回はとくに、若い層が投票に多く行けば、かなり変わるのではないか」と続けた。
20~30代の政治への関心を高めるには、インターネットは欠かせないツールとなる。
先月29日、動画サイトのニコニコ動画で行われた党首討論は、約140万人が聴取。自民党総裁の安倍晋三氏が討論している画面に、888...(パチパチパチ・拍手の音)などネット用語が飛び交うなど、双方向のネットメディアの若者たちへの影響力を見せた。
<ソーシャルメディアの選挙活動導入を>
ある20代の男性は、「マンション(ひとり暮らし)にはテレビがない。情報の入手先は、スマートフォンか、インターネットばかり」と話す。そういう若者も少なくない。
今回のような政党が乱立している状態だと、すべての政党の政策や、候補者の経歴や人物像を網羅できない。テレビや新聞での候補者の情報を補う形で、インターネットでの選挙活動が解禁されてもいい。日本維新の会の橋下徹代表代行は「インターネットで選挙活動ができないのはおかしな話」と、現行の公職選挙法の問題点を以前から指摘している。
大手ポータルサイトのトップページなどでは、民主党、自民党の広告をよく見かける。公示日以降のネット広告はOKで、ツイッター、フェイスブックで選挙活動をするのは公職選挙法に抵触のおそれがあるというのは、確かにおかしな話だ。「公示日以降に、ツイッターのつぶやきやフェイスブックの更新が一斉にストップしたのは、異様な感じがした。ネットでの選挙活動も若い人向けに解禁したほうがいい」と20代男性。「テレビだと、見たい候補者や選挙区の情報が出てくるまでに待つ時間がかかったりして結局見ずに終わったりする。ネットだと自分で探しにいけるから受け手にとっても効率がいい」(20代女性)といったインターネットでの選挙活動解禁を希望する意見のほうが多い。
とくに今回のような12の政党が入り乱れている場合、報道は「広く薄く」にならざるをえない。テレビや街頭での演説では、ほかの政党を批判、ほかとの違いをアピールするだけに終始することが多い。各候補者や政党が、どのような道筋で震災からの復興を成し遂げていくのか、どのように経済再生への現実的な段階を踏むのか、明確には見えてこない。視聴者がテレビや街頭演説だけで知りえなかった部分を補うツールとして、インターネットは有効だ。ネット世代の若者たちにとって、候補者の人となりを見るには、フェイスブックなどソーシャルメディアも大事な要素となりうる。ソーシャルメディアは、急速に発展してきて、ここ数年で一般的になった。今回の衆院選は間に合わなかったが、時代に合ったものに変えてもいいはずだ。
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