12月4日公示、同16日投開票の日程で始まった衆議院議員総選挙。商い上、お店の経営者やスタッフは、政治にとかく口出しするわけにはいかないものの、"中洲連合会長が出馬"とあっては、結果が気がかりなところも少なくはない。また、現在、1,900軒もの店が営業している西日本一の歓楽街・中洲だが、経費削減によって、接待の減少、日帰り出張の増加などと景気悪化の影響を多分に受けている。はたして、中洲の人々は今回の選挙をどのように見ているのか――。
「率直に言って、どの政党にも期待できません。新党ができたと思ったらくっついたりして、やりたいことがよくわかんない」とは、ラウンジで働くMさん(29)、中洲歴は10年。飲み屋のおねえさんといっても、日頃、接客のために新聞・テレビでの情報収集は欠かさない。おそらく同世代の無党派層よりは政治に詳しい彼女は、政党・政治家の離合集散にウンザリといった感じだ。
スナックのT店長(35)は、「震災の影響もあるだろうが、民主党政権で景気は後退したように思います。納税者として『ムダ使いをなくす』というのはわかるけど、交際費にお金が回らなくなることへの不安もあります。消費増税もきつい」とコメント。最近、営業時間の取り締まりが厳しくなっている一方で、違法の客引き行為が急増。マジメにやっている店が割を食うような状況に頭を抱えているという。そこに追い討ちをかけるような消費増税。希望を抱かせる政策が見当たらないと嘆く。
「出勤時に演説を聞いたけど、ただ若いだけで政治の話がまったくできないような人もいる。税金で給料もらえる身分になるんだから、それなりに勉強してほしい。何度も『頑張ります』と言うけど何をどう頑張るの?」と、少しお怒りなのはクラブのYママ。常連確保のため、スタッフ一丸となって接客サービスの質向上に取り組んでいるYママは、立候補者の質が落ちていると指摘。「看板だけで中身は空っぽなんて人は、政治はもちろん、何をしてもダメね!」と、批判を強めた。
大物代議士も御用達の中洲は、政治を"違う側面"から見てきた街。そのベテランさんたちの人を見る目は確かである。立候補者・有権者問わず、貴重なご意見として受け止めていただきたい。ところで万が一、小生が出馬とあれば中洲で第一声をあげ、毎日練り歩いて支持を訴えたい。政党は「自由飲酒党」(略称:飲酒)で・・・。
長丘 萬月 (ながおか まんげつ)
福岡県生まれ。雑誌編集業を経て2009年フリーに転身。危険をいとわず、体を張った取材で蓄積したデータをもとに、「歓楽街の安全・安心な歩き方」をサポートしてきた男の遊びコンサルタント。これまで国内・海外問わず、年間400人以上、10年間で4,000人の歓楽街関係者を『取材』。現在は、ホーム・タウンである中洲(福岡市博多区)にほぼ毎日出没している。
※記事へのご意見はこちら