16日投開票が行なわれた第46回衆議院議員総選挙は、自民・公明が323議席を獲得し、大勝利を納める結果となった。公示までの日が浅いなか、無名の新人候補たちが強いられた第3極・日本維新の会は54議席を獲得し、民主党57議席に次いで3番手に。選挙前の11議席から躍進を遂げたと言える結果だが、同党を立ち上げた代表代行・橋下徹大阪市長、幹事長・松井一郎大阪府知事の表情は固かった。
一方、今回の総選挙で同党を支持・支援した有権者は困惑。当選した顔ぶれに、太陽の党(旧・たちあがれ日本)のお歴々がチラホラと見えるからだ。九州では、前職・園田博之氏が熊本4区で当選した以外は、17小選挙区で落選。比例九州ブロックで4議席を獲得し、うち1議席は、民主党を離党した前職・松野頼久氏(熊本1区、落選)が名簿順位単独1位のため優先的に獲得。残り3議席を、同一順位16候補が惜敗率で争うかたちとなった。
惜敗率40~49%に8人の候補がひしめき合う熾烈な争いを制したのは、当選順に、新人・河野正美氏(福岡4区)、元職・中山成彬元国交相(宮崎1区)、新人・山之内毅氏(鹿児島1区)。日本維新の会が候補者育成のために設立した「維新政治塾」の塾生は、山之内氏ただ1人のみ。ほかは、元民主(松野)か旧たちあがれ(園田、中山、河野)となっている。落選した陣営の選挙運動を手伝った支持者は「新鮮味がない顔が半分以上。政治に新風を入れてほしいと思っているが、期待していいのか」と半信半疑だ。
さらには、公認候補の公募で選抜された塾生が、太陽の党との合流による選挙区調整によって、公認の内定取り消しや、公認証書まで得たものの発表時とは異なる選挙区への異動を打診され、結果、出馬を断念したという事例もある。また、塾生出身候補は同党の方針に従い、選挙資金を自前で調達して国政選挙に挑んだ。比例単独1位で復活の前職・松野氏、に旧たちあがれ・元職の中山氏が身を削って落選した塾生候補者たちの屍の上に立つ構図に、失望感さえ抱いている塾生・支持者も少なくはない。
福岡で行なわれた街頭演説で、「3年前、自民党が嫌で民主党に政権を委ねた。また自民党に戻すんですか」「みなさんがNOを突きつけた国会議員が復活してくる」などと、古い自民党政治の復活に警鐘を鳴らした橋下氏。たしかに少々具合が悪い結果かもしれない。
※惜敗率:小選挙区当選者が得た票数に占める票数の割合。
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