＜強い商品力のある自社物件に高い信頼＞
　（株）ネストは、1999年に設立された投資型マンションの販売会社。設立から今日までの間、多くの業者が悩まされた不動産不況もあったが、同社は堅実な経営で順調に業績を伸ばしている。その好調さのベースになっているのが、顧客に対して魅力的な自社物件を持っていることだ。

　同社の自社ブランド「NESTPIA（ネストピア）」シリーズには、明確なコンセプトがある。それは、入居者が入りたくなるような条件を維持すること。「NESTPIA」がメインターゲットとする入居者は、自立した女性シングル。そんな入居者に選ばれる最大の条件の１つが立地であるため、「NESTPIA」は地下鉄や西鉄沿線の駅から徒歩５分圏内にこだわる。また、大半の部屋は１LDKタイプだが、どこも30m²以上を確保すること。これら立地や面積といった基本を押さえることで、とくに都会でのびのび暮らしたいと考える若い女性シングルのニーズに応える。
　加えて、最近の物件ではさらなる仕様や設備を付加し、物件の魅力度を高めている。たとえば、収納。取材時点で最新の「NESTPIA呉服町」は、全室にウォークインクローゼットを設けた。また、大型シューズクロークなども設置したが、これら余裕のある収納は、服や靴など物持ちが多い女性シングルのみならず、アウトドアやスポーツが好きな男性にも非常に好評だったということで、今後のマストアイテムになりそうだ。さらに、同シリーズではすでに定番となっている、騒音や振動を抑える二重床や耐火遮音壁、光触媒の働きによって大気汚染の原因となる有害物質を分解・自ら大気を浄化するというハイドロテクトタイルの外壁など、構造面からも居住性を追求。これらの特長を持つ「NESTPIA呉服町」は、完成前にすべて入居者が付いた。しかも、その６割が法人客だという。

　このような立地や仕様にこだわり、竣工前に全室入居となった物件は、たとえ入居者が退去してもすぐに空室が埋まるという好循環をもたらす。そして、家賃の安定収入が得られることで、その部屋のオーナーの満足度を高めることにつながっている。

＜社長の信条は「身の丈にあった経営」＞
　入居者目線の物件づくりにこだわり、オーナーの満足を得ることに成功した同社は、今期（12年）は２億5,000万円の経常利益を見込んでいる。順調に業績を上げていると、「ここで一発勝負に出たい」と考える経営者も多いだろうが、新井晋一社長に尋ねると「身の丈にあった経営でいいんです。年120戸以上の供給はしたくないですね。地道にやっていき、当面は20億円ぐらいの規模の会社になればいいですね」と穏やかな表情で答える。

　そんな緩やかな成長を目指すため、今後の施策を挙げてもらった。まず新規物件は、前述の通り立地にこだわる。12年８月に竣工した「NESTPIA天神東Ⅱ」（ホテルオークラ近く）を始め、13年度内に博多駅前２丁目に１棟、西新エリアに２棟を予定しているのだが、これまでの地主や関係機関との良好な関係で好立地の土地を確保できたという。立地優先といっても、福岡市内で利便性の良い空き土地はそうそう見つかるものではないが、ここでも同社の真摯な姿勢が好結果につながっている。今後は地下鉄沿線だけでなく、西鉄大牟田線沿線での土地確保にも力を注いでいく考えだ。
　また、相続税対策や貯蓄の多いオーナーからのニーズが高い１棟売りもスタートさせる予定だ。この場合、RCマンションだけでなく木造アパートなども手がけ、その一部を自己保有することも考えているという。たとえ買い手が付かなくても、自己保有することで自社資産となるからだ。

　ほかにも、グループ会社である管理会社「（株）ネストルームサポート」の充実化も。自社物件に比例して管理物件が増えているのもあり、同社は創設以来６期連続の黒字決算を誇っているのだが、今後はサービスの充実を図り、業務を拡大していく。

｜　（後）　≫

＜COMPANY INFORMATION＞
■（株）ネスト
代　表：新井　晋一
所在地：福岡市中央区警固1-15-6 KH22ビル3Ｆ
設　立：1999年９月
資本金：7,800万円
ＴＥＬ：092-737-5223
ＵＲＬ：http://newnest.co.jp/

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